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養殖アユの増産目指す 和歌山県、技術開発やブランド化推進

和歌山県内アユ養殖業の生産量
和歌山県内アユ養殖業の生産量
 和歌山県内で2019年に養殖されたアユの生産量は584トンで、約30年前の2割以下に減少したことが分かった。かつては全国1位だった時代もあったが、いまは3位。県は「県内水面漁業振興計画」を初めて策定、5年後に1割増加させようと、ブランド化や養殖技術の開発などを推進していくという。


 計画は25年度までの5年間。内水面漁業の振興法と国の基本方針を踏まえて策定した。

 県内の19年アユ養殖生産量は、愛知(1171トン)、岐阜(910トン)に次ぐ多さで、全国シェアは14%を占める。一方で、過去の推移をみると、1991年の3244トンをピークに減少。2000年代に入っても、17年までは千トン前後を保ち、このうち05~12年は全国最多の生産量だったが、近年は減っている。

 県は要因として、アユの価格低下や配合飼料の値上げ、高齢化による事業撤退などを挙げる。実際、養殖事業者数はピークだった1983年は50業者いたが、現在は8業者に減ったという。

 内水面漁協の組合員数も高齢化などにより減っている。県内で漁場管理や水産資源増殖をしている13漁協の19年の組合員(准組合員を含む)は5627人。平成に入った1989年は県全体で1万5172人いたが、減少傾向が続き、4割程度になった。

 アユ遊漁者数も減っている。2002年は2万6071人いたが、19年は9645人まで減少した。レジャーの多様化などが影響しているとみられる。

 県は新たな計画で、ブランド化や養殖技術の開発を推進するほか、商談機会の創出や付加価値の高い加工品の開発を支援するなどして魚価向上を図り、養殖アユの生産量の増加を目指す。

 また、遊漁者数や組合員数については、減少に歯止めをかけ、現状を維持したいという。そのために県は、内水面漁連や漁協が主催する体験学習会や釣り教室を広く情報発信したり、漁協の経営基盤強化のための指導、組合員確保のための研修会を支援したりしていく。

 ほかにも、深刻化するカワウ食害を防止するため、漁協による捕獲を支援し、23年度までにカワウの個体数を半減させるという国の目標の達成を目指す。アユの冷水病対策として、有望視されているワクチンの開発にも取り組んでいく。アマゴやウナギの資源回復支援なども盛り込んでいる。

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