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土砂災害や水害の話聞く 龍神中学校で防災教室

紙芝居で命の大切さを訴える久保榮子さん(奥左)=和歌山県田辺市龍神村安井で
紙芝居で命の大切さを訴える久保榮子さん(奥左)=和歌山県田辺市龍神村安井で
 和歌山県田辺市龍神村安井の龍神中学校は15日、学校近くの龍神市民センターで防災教室を開き、1年生23人が参加した。生徒は、県の職員から土砂災害の起こる仕組みについて聞いたり、紀伊半島大水害の被災者から命を守る行動を取ることを学んだりした。

 1年生は、紀南体験として1泊2日の日程で那智勝浦町、すさみ町、串本町を訪れる予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期され、内容も一部変更された。那智勝浦町では、市野々にある県土砂災害啓発センターで防災について説明を受けることにしていたが、センター職員が学校を訪れて生徒に講話をすることになった。

 この日は、センターの坂口隆紀所長(53)と、紀伊半島大水害の被災者で防災士の資格を持つ語り部の久保榮子さん(78)=那智勝浦町井関=が講師を務めた。

 坂口所長は紀伊半島大水害を振り返り、那智川などの土砂災害の現象や被害状況をスライドを使って説明。山間部の龍神村では、平地とは異なり土砂が一気にたまって川の流れが止まり、氾濫することがあるのも知っておくように話した。

 また、早めの避難が大切だと分かっていながら、全国的に水害の犠牲者が出ているのは、自分だけは大丈夫だという思い込みや、他の人が避難していないから自分も様子をみるといった心理があるからで、自ら判断して早く避難することの大切さを強調した。

 久保さんは、被災した当時の様子を自作の大きな紙芝居を使って語った。夫と娘の3人で暮らしていたが、未明に濁流が家に入り胸までつかった。窓から外に出て、3人ともといにぶら下がるような格好で逃げたが、久保さんは流されて水中でもがきながらもフェンスにつかまることができた。娘は屋根に上がることができたが、夫は流されて行方不明になったという。

 久保さんは、地元で被災した人に聞き取り調査をした結果、近所同士で助け合ったこと、早めの避難をしたり、親族から早く逃げろという電話があったりして助かった事例があったことを紹介。「早めに避難をしていれば、大事な命が亡くなることがなかった。つらい経験だった。皆さんは、いろいろな事があっても最後まで諦めずに進んでほしい。災害のことをしっかり勉強して伝えて」と呼び掛けた。

 生徒からは「つらい体験にめげずに、みんなに伝えている行動力がすごい。しっかり学んで早く避難することを心掛けたい」「少しの油断で命を落とす可能性がある。どこへ避難するか改めて家族と話したい」「災害は予想外のことが起きると意識して暮らしたい。自宅の寝室に懐中電灯と靴を置いておくことを忘れないようにしたい」などの感想が聞かれた。

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