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社殿の絵柄よみがえれ みなべ町の須賀神社、彩色の保存修復進む

絵柄の剝がれかけた所を貼って彩色を保存する文化財修復師(和歌山県みなべ町西本庄で)
絵柄の剝がれかけた所を貼って彩色を保存する文化財修復師(和歌山県みなべ町西本庄で)
保存・修復途中の木鼻。亀や象などさまざまな形がある
保存・修復途中の木鼻。亀や象などさまざまな形がある
 和歌山県みなべ町西本庄の須賀神社で、社殿に施された彩色の保存・修復作業が続けられている。社殿は3棟あり、今は2棟目の作業中。竜や唐獅子、亀、クジャクなどの絵柄がよみがえりつつある。屋根のふき替えも含め、3棟全てが完了するのは来年12月の予定。


 社殿には極彩色に塗った絵柄が豊富に施されており、これらが長い年月、紫外線や風雨にさらされることで変色したり、剝離したりしている。この彩色の保存と修復を、檜皮葺(ひわだぶき)屋根の35年ぶりのふき替えに合わせて計画した。昭和40年代に一部を直しており、半世紀ぶりだという。

 6月に作業のための足場が組まれ、屋根の解体から始まった。彩色の保存と修復は8月から中央の社殿で始まり、今は向かって右側の社殿で続けられている。左側の社殿は、来年5月以降に屋根の解体から始まる。

 保存と修復を請け負うのは、文化財や歴史絵画などの保存修復を手掛ける京都市の「彩色設計」。文化財修復師が4、5人で作業し、絵柄の剝がれかけた所をにかわを塗って貼り付け、完全に剝げた部分は色を補って修復している。現場責任者の久安敬三さん(60)によると、昭和の時代までなら塗り替える修復が多く、それによって元の形が分からなくなったが、今はそのままの状態を維持し保存するという形が多いという。

 須賀神社では、1906(明治39)年に塗り直したという記録があり、100年以上経過している。久安さんは「昭和40年代に少し直しているとはいえ、保存状態はいい」と話す。また、紀中から紀南にかけての社寺で彩色が施されている所はそうないという。建造物彩色の技術は国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されており「須賀神社のように社殿全体で保存や修復をする現場はそうなく、若手職人にとっていい経験」とも話していた。

 須賀神社は、平安中期の一条天皇(980~1011)の時代に京都祇園御霊宮(現在の八坂神社)を勧請したとされる。現在の社殿は江戸中期に建立されたとされ、県指定の文化財。前芝弘知宮司(45)は「社殿の形態だけでなく、芸術的な彩色は見応えがある。興味を持ってもらえればと思う」と話す。事前に申し入れてもらえれば、見ることができるという。

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