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「現代の名工」に 建築大工の中村さん(田辺)

「勉強に限りはない」と語り、いまも現場に立ち技を磨き続ける中村静男さん(5日、和歌山県田辺市下三栖で)
「勉強に限りはない」と語り、いまも現場に立ち技を磨き続ける中村静男さん(5日、和歌山県田辺市下三栖で)
 和歌山県は5日、田辺市芳養町の建築大工、中村静男さん(71)が、本年度の「卓越した技能者(現代の名工)」の厚生労働大臣表彰に選ばれたと発表した。

 技能者の地位や技能水準の向上を図り、将来を担う優秀な技能者の育成を進め、優れた技能を次世代に継承する目的の表彰。都道府県知事や全国規模の事業を行う事業団体などの推薦を受け、審査委員の意見を聞いて決め、厚生労働大臣が表彰する。全国では本年度、150人が選ばれた。

 中村さんは51年間、大工工事業に従事し、現在、中村工務店(田辺市下三栖)社長。

 木材の曲線加工などで随一の精度や加工技術を持つ。特に伝統工法である「斗組(ますぐみ)」や「唐破風(からはふ)」に発揮され、唐破風は、案件に応じて曲がり角度を調整し、細部の仕上げまでこだわり、誰が見ても美しい形状を追求していると評価された。

 京都府の西本願寺安穏殿礼拝堂の造作、和歌山市の本久寺の玄関唐破風、田辺市の新庄小学校、千光寺土蔵などを手掛けた。

 また、田辺技能士会会長、県職業能力開発協会理事などを歴任し、全技連マイスター、ものづくりマイスターの認定を受け、建築大工の技能向上のため積極的な指導を行うなど後継者育成にも尽力している功績がある。

 中村さんは「若い時から、ベテラン宮大工のそばに付いて技術を身に付けようと努めてきた。困難があるほどいかに克服するか考えて仕事に取り組むのが楽しい。表彰は大変ありがたい。これからも精進し、後進育成に力を入れていきたい」と語る。

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