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学生の農業体験始まる 県開設のサイト「わかやまクルー」

農家(中央)に教えてもらいながら、かんきつ類への袋がけ作業を手伝う大学生=和歌山県田辺市上秋津で
農家(中央)に教えてもらいながら、かんきつ類への袋がけ作業を手伝う大学生=和歌山県田辺市上秋津で
大学生と地域団体を結ぶウェブサイト「わかやまCREW」の画面
大学生と地域団体を結ぶウェブサイト「わかやまCREW」の画面
 地方に関心がある大学生と、若者の力を生かして活性化を図る団体の両者をつなぎ、新たな関係人口をつくろうと、和歌山県が開設したウェブサイト「わかやまCREW(クルー)」の登録第1号として、法政大学(東京都)の学生が3泊4日の日程で田辺市上秋津を訪れた。ミカン畑などで農家の作業を手伝いながら地域づくりについて学んだ。


 コロナ禍を背景に地方に関心を持つ若者が出てきているが、いざ地域に入りたいと思っても、情報や手段がないことがある。そのため県は、地域と学生をつなぐきっかけづくりにと、和歌山大学の協力で今回のサイトを開設。登録すると、県内の受け入れ団体や農家などが提供するプログラムに申し込むことができる。サイト上で、大学生は確認したいことなどを受け入れ団体に質問でき、合意した上で申し込みができる。

 現時点で、申し込みできるプログラムは8市町の15件。ブロッコリーの収穫・出荷体験▽地域密着体験型イベントの運営▽地域伝統工芸の共同作品の開発―などのプログラムがある。プログラムによって宿泊ありのものと、日帰りのものがある。

 紀南地方では、「秋津野ガルテン」(田辺市上秋津)が農村ワーキングホリデーや農産物直売所・体験工房の手伝いなど、「古座川ゆず平井の里」(古座川町)がユズ収穫体験、「交流センター太田の郷」(那智勝浦町)がフリーマーケット&マルシェの運営やタカナ収穫・漬け体験のプログラムを提供する。

 法政大学の現代福祉学部2年生5人は10月30日~11月2日の日程で、秋津野ガルテンに宿泊しながら3農家に分かれて農作業体験をしたり、地域づくりの話を聞いたり、また、最終日に体験をまとめて発表したりした。

 地元の農家、小谷育生さん(69)の畑では2人の女子学生がかんきつ類、せとかの袋がけ作業などを手伝った。

 大学生の山下友梨子さん(20)は「実家は農家で、農山村のまちづくりに興味があった。今回、住民主体の地域づくりをしている上秋津地域で、なぜ内発的な活性化の取り組みが生まれるのか学びたいと思い参加した。来ていない他の学生にも地域のことを伝えたい」と語った。

 加藤優依さん(20)も「東京都出身で都会育ちで、田舎や農業に関心がある。実際に来てみると、畑に行く道が細かったり急だったり、畑の足場が悪かったり驚いた。ミカンを食べるまでには、多くの作業があることが分かった。地域づくりの苦労について学びたい」と話した。

 小谷さんは「若い人たちに、農家がどんな手間をかけて育て、おいしいものが食べられるのか、苦労が分かってもらえればうれしい」といい、ガルテンを運営する農業法人秋津野の木村則夫社長(65)は「学生たちも普段の授業で学べないことが学べたと話し、充実した様子だった。受け入れ側にとっては学生を通じて外からの視点を得られるのが刺激になる。今後もその積み重ねが大事だと思う」と語った。

 県移住定住推進課は「和歌山の魅力を知って、ファンになってもらい、将来的な移住定住や関係人口づくりにつなげたい」といい、引き続き、サイトが使いやすいように改良を加えていく。随時、受け入れ団体なども募集している。

 詳しくはウェブサイト「わかやまCREW」に掲載している。問い合わせは、県移住定住推進課(073・441・2930)へ。

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