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パンダ、宇宙、粘菌で講演 白浜で専門家2人

右は、アドベンチャーワールドの取り組みを紹介する副園長の中尾建子さん。左は、宇宙空間で粘菌を観察するプロジェクトを紹介する東京大学名誉教授の久保田弘敏さん
右は、アドベンチャーワールドの取り組みを紹介する副園長の中尾建子さん。左は、宇宙空間で粘菌を観察するプロジェクトを紹介する東京大学名誉教授の久保田弘敏さん
 和歌山県白浜町の南方熊楠記念館で6日、レジャー施設「アドベンチャーワールド」(白浜町)副園長の中尾建子さんと東京大学名誉教授の久保田弘敏さんの講演会があった。中尾さんは、多様性や持続性に満ちた循環型社会を目指して展開する施設の取り組みを紹介。久保田さんは、宇宙空間で粘菌を観察しようという自身が携わる企画を話した。

 「紀の国わかやま文化祭」の一環。「熊野古道を世界遺産に登録するプロジェクト準備会」が主催した。約30人が聴いた。

 中尾さんは、国連が掲げる「持続可能な開発目標」(SDGs)を施設の運営会社が経営方針に取り入れていると説明。国内最多の7頭を飼育しているジャイアントパンダの関係では、餌にしている竹を再利用する取り組みに力を入れていると紹介した。

 これまでに施設で17頭のパンダが生まれたという実績を示して「白浜生まれのパンダの子孫が野生の世界に戻ればうれしい」とも語った。

 航空宇宙工学が専門の久保田さんは、東大退官後に勤め始めた帝京大学の学生からの「宇宙らしいことがやりたい」という言葉がきっかけで企画が始まったと説明。2014年2月には粘菌を入れた小型衛星を搭載したロケットの打ち上げが成功したものの、宇宙での粘菌の画像を受信できなかったという。

 ただ、改良型の衛星を載せたロケット打ち上げの計画もあるといい「今度こそ、画像を受信できることを期待している」と話した。

 粘菌は熊楠の代表的な研究対象だったことで知られる。久保田さんは、熊楠が亡くなった1941年に自身が生まれたことに触れて「勝手に縁があると思っている」と笑わせつつ「生物学と宇宙工学の融合、研究をこれからも続けたい」と締めくくった。

■9日、ロケット打ち上げ

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、イプシロンロケット5号機を9日午前に鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げた。久保田さんが携わる帝京大の衛星も搭載した。

 当初の打ち上げ予定は10月1日だったが、気象条件などの影響で3度延期されていた。
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