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男性も育休取得を 和歌山県南部の企業で徐々に広がる 妻の大変さ実感

休日に長男の怜煌君と公園で遊ぶ谷口有輝さん(田辺市神子浜2丁目で)
休日に長男の怜煌君と公園で遊ぶ谷口有輝さん(田辺市神子浜2丁目で)
マリンライブ中の北田拓海さん(アドベンチャーワールド提供)
マリンライブ中の北田拓海さん(アドベンチャーワールド提供)
 共働き家庭が増える中、紀南地方でも男性従業員の育児休業取得に積極的に取り組む企業や事業所が徐々に増えてきている。


 みなべ町北道で、農機具の販売やレンタルをしている「藤原農機」は、2016年から男性社員にも育休を取得するように呼び掛けている。これまでに3人が2~3週間、取得した。

 シェアビジネス事業部でモノラックの施工や修理を担当する谷口有輝さん(26)は、上司である東直斗さん(32)から勧められ、長男が生まれた昨年5月に3週間取得。買い物や掃除、洗濯、子どものおむつ交換などをした。妻の大変さを実感し、職場に復帰した後も以前より家事をすることが増えたという。

 谷口さんは「育休を取るか取らないかではなく、取得することを前提に、上司から『期間はどれくらいにするか』と声を掛けてもらったので取りやすかった」と話す。

 谷口さんに育休を勧めた東さんは「業務を特定の人が担当し、他の社員ではできない状態では、何かあった時にお客さんに迷惑をかけてしまう。育休は、社員間で業務を共有し、仕事を引き継ぐ本人と周囲の社員のいずれにとっても能力を高める良い機会になる」と話す。

 白浜町の「アドベンチャーワールド」を運営する「アワーズ」は、県外出身の従業員が多く、身近に子育てを支援する親類がいない場合が多い。そのため、アドベンチャーワールド内にある白浜事業所に企業内保育園を18年4月に開園したり、子どもが中学校入学前まで育児短時間勤務の対象にしたりするなど、子育てしながら働きやすい職場環境づくりに力を入れている。

 男性の育休はこれまでに8人が利用した。約2カ月間取得した人や、2回に分けて取得した人もいる。

 制度を最初に利用したのが、グループ会社に出向している販売事業部課長の宮庄潔さん(51)。長男が生まれた19年秋に、約3週間取得した。夫婦とも県外出身で頼れる人が近くにいないこと、妻が出産予定日の3カ月前から入院が必要になったことに加え、管理職である自らが最初に利用することで、若い社員が後に続きやすくなると考えたという。

 夫婦ともに関東出身の社員、北田拓海さん(29)は、妻が里帰り出産した昨年10月末から17日間取得した。さらに、妻と赤ちゃんが紀南に戻った12月末からの19日間も取得し、家事全般やおむつ交換、入浴などをした。現在も料理や買い物などを主に担っている。育休について「なんと言っても、子どもの成長をそばで見られるのがいい」と笑顔で話す。

 厚生労働省によると、全国の男性の育休取得率は20年度で12・65%。政府は25年までに30%に引き上げる目標を掲げている。今年4月からは、父親が育児のために休みを取りやすくする改正育児・介護休業法が一部施行され、企業は育休制度を事前に社内に周知し、子どもが生まれる従業員一人一人に育休を取るつもりかどうかを確認する義務を負う。10月からは、子どもが生まれて8週間以内に計4週分の休みを2回まで分割して取得できる「男性版産休」制度を新設する。

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