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千年の時を超えゆかりの地へ 田辺市が平泉に秀衡桜贈る

和歌山県田辺市が贈った「秀衡桜」の苗木を植樹する岩手県平泉町の青木幸保町長(右)ら=平泉町提供
和歌山県田辺市が贈った「秀衡桜」の苗木を植樹する岩手県平泉町の青木幸保町長(右)ら=平泉町提供
熊野古道沿いで花を咲かせる秀衡桜(昨年3月末、和歌山県田辺市中辺路町野中で)
熊野古道沿いで花を咲かせる秀衡桜(昨年3月末、和歌山県田辺市中辺路町野中で)
 和歌山県田辺市は、同市中辺路町野中の世界遺産熊野古道沿いにある「秀衡桜」の苗木を、姉妹都市である岩手県平泉町に贈った。このサクラは平安末期の奥州の武将、藤原秀衡(1122~87)の熊野詣でにまつわる伝説から名付けられたとされており、千年近い時を超えてゆかりの地に届けられた。


 秀衡桜は「継桜王子」近くにある大きなサクラ。秀衡が妻と共に熊野詣でをした際、生まれた子の無事を願い、つえにしていたサクラの木を地に突き刺したものが成長したと伝えられている。

 4代目とされる木が2011年に幹内部の腐食で折れたが、その根元付近から伸びていたものを地元住民らが5代目として大切にしており、毎年春になると満開の花が古道客を楽しませている。

 田辺市は「武蔵坊弁慶」の生誕の地、平泉町は終焉(しゅうえん)の地とされる。その縁から、1982年に姉妹都市提携を締結。現在まで交流が続いている。

 2019年秋には平泉町の青木幸保町長が田辺市を訪れ、真砂充敏市長と共に3日間かけて熊野古道を歩いた。市によると、その後、町から「秀衡桜の子孫木を頂けないか」と相談があり、県林業試験場に依頼して接ぎ木苗を育てていた。

 平泉町は本年度、中尊寺など「平泉の文化遺産」が世界遺産に登録されて10周年を迎えた。その記念事業の締めくくりとして、今月完成の学習交流施設の敷地内に秀衡桜を植樹することになった。

 このほどあった植樹式には、青木町長や地元の小学生らが参加。真砂市長からの「新型コロナウイルス感染症が落ち着いた際には、皆さまと、秀衡桜の子孫木にお会いする日を楽しみにしています」とのメッセージも披露された。

 平泉町の担当者は「田辺市とは弁慶の縁だけではなく、秀衡公でもつながりがある。二つの強い絆をもとに、さらに深い交流ができれば。新しい施設のシンボルツリーとして成長してほしい」と話している。

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