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熊野の香り商品化 「再訪のきっかけに」

ナギの葉を用いた線香を持つ大竹哲夫さん(左)と伊藤慎宮さん=和歌山県田辺市本宮町で
ナギの葉を用いた線香を持つ大竹哲夫さん(左)と伊藤慎宮さん=和歌山県田辺市本宮町で
エムアファブリーが新たに開発した「熊野の香り」シリーズ=和歌山県新宮市五新で
エムアファブリーが新たに開発した「熊野の香り」シリーズ=和歌山県新宮市五新で
 和歌山県田辺市本宮町や新宮市で、熊野ならではの香りをアピールした商品が注目されている。記憶と匂いは結び付きが強いとされることも背景にある。商品化した人たちは「熊野を訪れた経験と香りを持ち帰ってもらうことで、思い出したり、再訪のきっかけになったりすればいい」と期待する。

■〝ご神木〟を香料に

 本宮町在住で、熊野の魅力を発信するウェブサイト「み熊野ねっと」を運営する大竹哲夫さん(53)は、愛知県小牧市の調香家、伊藤慎宮さん(53)と共同で、熊野のご神木であるナギの葉を原料にした線香を開発した。

 きっかけは2019年。ナギの葉を材料に商品を開発しようと、伊藤さんは「葉を分けてほしい」と大竹さんに依頼した。18年4月に本宮町を訪れた際に、大竹さんがナギの押し葉を商品にしていると知ったという。

 大竹さんは、新宮市内の知人宅にあるナギを剪定(せんてい)する際に、葉を分けてもらっているという。ナギの葉脈は縦方向で、ちぎれにくいため、縁を強く結ぶとされている。かつて葉は、お守りとしても用いられた。

 伊藤さんは、お香の製造・販売を手がける高松市の「一(いち)」(岩佐一史代表)と試行を重ねた。細かくしたナギの葉や複数の香料を調合し、2年ほどかけて「森の中にいるような香り」(伊藤さん)に仕上げた。

 大竹さんは「ナギを使う商品が新たにできたのはうれしい」と話し、伊藤さんは「ご神木を材料にする物を手元に置けるという意味でも、商品化できてよかった」と喜んでいる。

 商品名は「梛(なぎ)の香」。約10グラム(50本弱)で税込み1320円。本宮町湯峯にある旅館「伊せや」や、伊藤さんが代表を務める「心香堂」のインターネットショップで、15日から販売する。

■果実で「和歌山らしさ」

 アロマ製品の製造・販売を手がける新宮市五新の「エムアファブリー」(竹原真奈美代表)は、さまざまな植物の実や葉から抽出する芳香蒸留水を新たに開発した。キンカンやダイダイのほか、レモン、スモモなどがある。

 以前から熊野産のスギやヒノキの香りを商品化している同社では「果実も取り入れることで、より和歌山らしさ、熊野らしさを表現できると考えた」と話している。

 材料となる植物は、那智勝浦町や古座川町、串本町などで自社栽培している。コロナ禍で時間に余裕が生まれたこともあり、以前から考えていた商品化に着手した。

 商品は、香り成分が溶け込んだ蒸留水だけで、余計な物は混じっていない。広報担当者は「スプレーなのでどんな場面でも気軽に使える」とアピールしている。

 商品名は「熊野の香り」。1本につき50ミリリットルで税込み1540円。店頭かインターネットで購入できる。

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