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獅子舞3年ぶり躍動 コロナ禍で縮小の河内祭

ご神体である河内島の前で獅子舞を奉納する古座青年会(和歌山県串本町古田で)
ご神体である河内島の前で獅子舞を奉納する古座青年会(和歌山県串本町古田で)
芳流館互盟社が披露した獅子舞(和歌山県古座川町高池で)
芳流館互盟社が披露した獅子舞(和歌山県古座川町高池で)
 和歌山県の串本と古座川の両町を流れる古座川下流域を舞台にした「河内祭(こうちまつり)」が23、24の両日に営まれた。コロナ禍のため今年も大幅に規模を縮小したが、河内島の前の河原では串本町の古座青年会が獅子舞を奉納し、古座川町の芳流館互盟社も披露の場を設けるなど、3年ぶりに獅子舞が躍動した。

■河内島の前で奉納
古座青年会

 河内祭は、古座川の河口から約3キロ上流にある河内島をご神体として祭る5地区(串本町古座、同町古田、古座川町高池下部、同町宇津木、同町月野瀬)の例祭。豪華な装飾を施した御舟による水上渡御や各地区の勇壮な獅子舞、古座中学校の生徒による櫂伝馬競漕(かいてんまきょうそう)などが知られ、1999年に「河内祭の御舟行事」として国の重要無形民俗文化財に指定された。

 コロナ禍が長期化する中、例祭は2019年に通常通り営まれてからは神事のみとなっており、古座川河内祭保存会では今年も神事のみとすることを決めたが、伝統を守りたいとして、御舟に乗り込んで披露される御舟謡や獅子舞の稽古は再開。古座青年会では、コロナ禍などの状況を見ながら奉納や辻での披露を計画していた。

 24日は午前9時から河内島の前の河原で「大前ノ儀」という神事を営み、石田保宮司(61)が祝詞を奏上したり、区長ら参列者が玉串をささげたりした。

 終了後、古座青年会が稽古を重ねてきた獅子舞を奉納。笛や太鼓の音色が響く中で「幣の舞」と「乱獅子」の2曲を力強く披露すると、参列者から大きな拍手が送られた。

 古座青年会の西田有希会長(45)は「天気も良く、3年ぶりの奉納が終わってほっとした。今年はとりあえずやれることからとの思いで取り組んだが、来年は本来の形で祭りができたら」と笑顔を見せた。

 参列した古座区の松本太区長(73)は「獅子舞を奉納してくれてうれしい。コロナ禍に打ち勝って、来年はいつも通りの祭りに」。保存会の杉本喜秋会長(75)も「獅子舞があると華やかだ。今年は獅子舞や御舟謡の稽古を再開しており、来年こそは何とか本来の祭りを営むための第一歩になれば」と話していた。

■伝統つなごうと披露
芳流館互盟社

 古座川町高池下部地区の青年会「芳流館互盟社」は23日、地区内で獅子舞を披露した。伝統を未来につなぎたいと企画。親子連れらが集まり、演目を終えるごとに大きな拍手を送った。

 互盟社では昨年も祭りのシーズンには獅子舞の稽古をしていたが、お披露目は3年ぶり。地域から「見たい」という要望も大きかったという。

 祭りばやしを響かせながら屋台が会場の町津波避難総合センター駐車場に到着すると、子どもたちが周囲を取り囲むように集まった。「剣の舞」「花がかり」などダイナミックな演目が始まると、獅子舞の動きや、太鼓をたたく姿をまねしながら、食い入るように見入る子どももいた。

 瀧本功社長(42)は「伝統を守るため練習はしていたが、未来につなぐには披露することが重要。予想以上に子どもが集まってくれた。この中から後継者が生まれればうれしい。若い移住者も祭りに参加してくれている。多様な人材で伝統を守っていきたい」と話す。

 6年前に東京都から移住し、祭りに加わって4年目という増山清人さん(41)は「下町育ちなので、祭りは大好き。互盟社に入ることで、地域に打ち解けやすかった。義父が担当している太鼓を引き継ぎたい」と力強い演奏を披露した。

 祭りに携わって55年という池田宏さん(75)は「3年連続で祭りができないなんて、経験したことがない。お披露目できて気分がいい。一時よりメンバーは減ったが、最近は若い力が入ってくれている。来年こそ、他の地区と一緒に祭りをしたい」と笑顔を見せた。

 獅子舞を披露した後は、子ども向けの福引きや獅子頭との記念撮影会もあった。短い距離ながら祭りで使用する伝馬船も運航した。

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