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【動画】清流彩る「流れ施餓鬼」 各地で伝統の盆行事

 和歌山県田辺市下川上の日置川支流安川で15日、わら舟に新仏を載せ、火を付けて川に流す、県無形民俗文化財の盆行事「流れ施餓鬼(せがき)」が営まれた。紀南の各地ではこの日、精霊送りや花火などの盆行事があった。

■わら舟で新仏送る 田辺市下川上

 流れ施餓鬼は文化年間(1804~18年)の大水害を契機に始まったとされ、地元の愛郷会が毎年8月15日に営んでいる。この日は朝から、愛郷会の関係者と帰省した若者らがマダケと麦わらを使ってわら舟(全長約8メートル)を作った。

 午後6時半ごろ、河原のたいまつに火がともされ、地元の法伝寺の瀬戸道雄住職が読経、参列者が手を合わせた。わら舟に新仏の位牌(いはい)を載せると火が付けられ、川に送り出した。地元住民らが誘導しながら激流を下り、その様子を遺族らが見送った。

 愛郷会会長の桑原信彦さんは「前日の雨で増水を心配したが滞りなく営めた。今は愛郷会の会員も少なく、準備に手間がかかる。来年以降、地区外の人も遊びがてらでいいので手伝いに来てほしい」と話した。

■町内会が精霊送り 田辺市芳養松原

 田辺市芳養松原1丁目の松原町内会館近くの公園では、初盆を迎えた故人の霊を、舟で浄土に送り出す盆行事「精霊送り」があった。

 松原町内会(山本とし子会長)が主催。精霊舟は電飾類が付いた約2メートルのものを用意。婦人会や地元の善徳寺の寺坂義範住職が念仏を唱えた後、戒名を書いた札や、初盆を迎えた約20戸のちょうちんを積んだ舟を地区の関係者が海に浮かべ、参列者は手を合わせて見送った。

 堀切庸滋副町内会長は「盆の風物詩になっており、地域の方が多く集まってくれた。新型コロナ禍だったり、準備が大変だったりで盆行事をするところが少ないが、遺族の方々の思いもあり、送り出したいと実施した」と話した。

 行事後、舟や初盆のちょうちんは焼却した。
地元の人々に誘導されながら川を下る燃えさかる流れ施餓鬼のわら舟(15日、和歌山県田辺市下川上で)
地元の人々に誘導されながら川を下る燃えさかる流れ施餓鬼のわら舟(15日、和歌山県田辺市下川上で)
精霊舟を海に浮かべる住民ら(15日、和歌山県田辺市芳養松原1丁目で)
精霊舟を海に浮かべる住民ら(15日、和歌山県田辺市芳養松原1丁目で)
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