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子どもの発達に影響なし 太地町での鯨肉食健康調査

太地町公民館で開かれた水銀と住民の健康影響についての調査報告会(21日、和歌山県太地町で)
太地町公民館で開かれた水銀と住民の健康影響についての調査報告会(21日、和歌山県太地町で)
 環境省国立水俣病総合研究センター(熊本県水俣市)は21日、捕鯨が盛んな和歌山県太地町で調査していた、鯨肉などの食事による水銀摂取と子どもの発達への影響について「明らかな健康影響はない」と発表した。センターはこれまでに成人でも同様の調査結果を報告しており、三軒一高町長は「科学的な根拠に基づいて証明された」と話した。

 小魚やイカを食べるクジラは、食物連鎖の頂点に位置するため、高い濃度の水銀を体内に蓄積することが知られている。太地町は鯨肉食に伴う水銀の健康への影響を懸念する声を受け、センターに調査を依頼。2009~11年度に取り組んだ成人を対象にした調査では「明らかな健康影響が認められない」と報告しており、引き続き子どもへの影響を調べていた。

 報告会は同町公民館であり、地域住民約100人が参加。センターの中村政明・臨床部長(56)と、坂本峰至・所長特任補佐(65)が調査結果を報告した。

 脳の発達期にある胎児や小児期には、毒性のあるメチル水銀の影響を受けやすい。そのため、12~17年度にかけて太地町と那智勝浦町、串本町の小学1年生計133人(男児66人、女児67人)のへその緒と毛髪に含まれるメチル水銀濃度の中央値を調べた。

 その結果、へその緒のメチル水銀は他の地域より、毛髪の水銀濃度も全国調査より高かった。

 その上で知能や読字、色覚などの検査による小児発達の評価項目との関連性について調べたが、中村臨床部長は「小児発達に明らかな影響を与えるものではなかった」と評価した。

■無毒化された水銀に

 また、坂本所長特任補佐は、なぜクジラ自身や人へ影響がないのかを明らかにするため、4種類のクジラ120頭の筋肉や20頭の臓器を分析。その結果、メチル水銀は一定濃度に達するとストップし、水銀のほとんどは魚に多く含まれる「セレン」という元素と結合し、無毒化された水銀になっていることが分かったと報告した。

 このことから、坂本所長特任補佐は「一部はメチル水銀として存在しているが、残りは生体への作用がない水銀となっている。したがって心配されるような影響ないと考えられる」などと説明した。

 報告を聞いた町内の女性(68)は「子どもの健康にも影響がないと聞き、本当に安心した。安心してクジラ肉を食べたい」と話した。

 三軒町長は「最初にこの調査をやろうとした時には、もし大変なデータが出たら日本の捕鯨産業をつぶしてしまうのではないかなどといろんな批判もあったが、クジラを食べ続けてきたクジラの町として証明する責任があると考えた。結果から学校給食にと自信を持って言えるし、世界にも発信できる」と話していた。

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