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新型肺炎、白浜にも影響 宿泊キャンセル相次ぐ

設置数を大幅に増やした消毒液。英語と中国語でも利用を呼び掛けている(和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドで)
設置数を大幅に増やした消毒液。英語と中国語でも利用を呼び掛けている(和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドで)
新型コロナウイルスの試薬を確認する県環境衛生研究センター職員(28日、和歌山市で)
新型コロナウイルスの試薬を確認する県環境衛生研究センター職員(28日、和歌山市で)
 新型コロナウイルスによる肺炎が中国の湖北省武漢市から広がっている問題は、白浜温泉街(和歌山県白浜町)の宿泊施設で、中国人の宿泊予約キャンセルが相次ぐなど、紀南の観光産業にも影響が広がっている。 


 白浜町のあるホテルでは、2月の団体客(約20人)の宿泊予約がキャンセルされた。個人客でも予約の取り消しが出ているという。別の宿泊施設は「既に中国からの団体予約はほぼキャンセルになった。影響はかなり大きい」。別のホテルでも個人客のキャンセルが出ていて、担当者は「影響は今後も続きそう。(キャンセルは)計100人以上になるのでは」と話す。

 外国人観光客の対応も多い白浜観光協会事務所では、スタッフがマスクを着用して業務に当たっている。窓口には「お客様へのお願い」と題した紙を用意。せきや発熱がある場合は申し出るよう、日本語と中国語で書いている。

 白浜町のレジャー施設「アドベンチャーワールド」では、施設内の消毒液を10本から60本に増やした。土産物の販売所では試食を取りやめた。

 中国政府は27日、海外への団体旅行を禁止する措置を発動した。いつ解除するか明らかにしておらず、訪日観光客の減少で日本経済への影響も予想される。

 海外から白浜町への観光客はここ数年、10万人前後で推移している。国・地域別では、中国からの来訪は香港に次いで2番目に多い。

 県によると、中国広東省の小中学校計4校が2月上旬、修学旅行で県内を訪れ、白浜町に民泊する予定だったが、旅行が中止になった。

 仁坂吉伸知事は28日の会見で、観光業などへの影響が大きい場合は緊急融資も検討していると明らかにした。


◆患者発生へ備え 各医療機関


 県は、県内で患者が発生した場合に備え、態勢を整えている。

 中国語も併記した問診票を作り、県内の全医療機関に配布している。武漢市への渡航歴や、患者との接触の有無、発熱などを書き込む。

 各医療機関では、医師が疑わしいと診断した場合、保健所に連絡するとともに、患者から検体を採取し、専門機関で検査。保健所の判断で、県内の指定7病院に入院させる対応を取る。

 検査はこれまで国立感染症研究所(東京都)が実施していたが、県環境衛生研究センター(和歌山市)に必要な試薬が届いたため、県内でも可能になった。早ければ数日で態勢を整え運用を始める。

 県は27日、関係課による初めての連絡会議を開き、患者発生時の対応などを確認した。今後も必要に応じて開いていくとしている。

 健康推進課は「インフルエンザやかぜと予防方法は同じ。手洗いやうがいをし、せきが出る場合はマスクを着用してほしい。武漢市から帰国や入国し、せきや発熱がある場合は、その滞在歴を医療機関に申告した上で速やかに受診してほしい」と呼び掛けている。

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