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【動画】「共通巡礼」1万人突破 世界遺産の熊野古道とサンティアゴ 和歌山県田辺市

 世界遺産である熊野古道とスペインのサンティアゴ巡礼道の両方を歩いた人を「二つの道の巡礼者(DUAL PILGRIM)」として登録する和歌山県田辺市とサンティアゴ・デ・コンポステーラ市の共同事業で25日、1万人目の達成登録者が誕生した。事業開始から5千人目までは8年8カ月掛かったが、その後はわずか1年半で倍増。田辺市は「今後さらに増え、交流人口の拡大や地域経済の発展につながれば」と期待している。


 両市は2014年5月13日、巡礼文化を世界に発信していくことなどを柱とした観光交流協定を提携し、二つの巡礼道を訪れる人を増やそうと、15年2月1日から共通巡礼手帳を発行。熊野古道とサンティアゴ巡礼道の一定区間を歩いた人を登録している。

 第1号を15年2月16日に登録してから右肩上がりに増えていたが、コロナ禍の影響で激減。その後はV字回復し、昨年は過去最多の3272人を登録した。登録者は世界70カ国・地域に広がっており、最も多いのは日本の1834人で、アメリカ1403人、台湾1359人、オーストラリア1232人が続く。

 1万人目となったのは、いとこや弟と一緒に初来日したメキシコ人のカルロス・ガリシアさん(46)。悩みを解決したいと19年からサンティアゴ巡礼道を歩き始め、昨年まで約60日間かけて約1500キロ歩いた上で共通巡礼に挑戦。熊野古道は23日に田辺市中辺路町の滝尻王子を出発して中辺路を約40キロ歩き、25日午後3時前に同市本宮町にある世界遺産熊野本宮館に到着。共通巡礼の達成を届け出た。

 熊野本宮大社でセレモニーがあり、九鬼家隆宮司や平安衣装に身を包んだ女性らが歓迎。ガリシアさんは記念に拝殿にある大太鼓をたたいた後で正式参拝し、記念品を受け取った。

 1万人目の登録者となったことについて、ガリシアさんは「驚きと感動でとても興奮した。巡礼で多くの人々に出会ったが、みんな家族のように思っており、感謝の気持ちを伝えたい」と笑顔。「サンティアゴ巡礼道で人生が変わったように感じている。熊野古道でも人々の温かさに触れ、自分自身を見つめ直すことができた。ポジティブなエナジーが湧き、心地よく素晴らしい経験になった」と話した。

 ガリシアさんらはさらに熊野古道を歩き、27日、熊野那智大社にゴールする予定。

一万人目の「二つの道の巡礼者」として登録されたメキシコのカルロス・ガリシアさん(中央)ら=25日、和歌山県田辺市本宮町で
一万人目の「二つの道の巡礼者」として登録されたメキシコのカルロス・ガリシアさん(中央)ら=25日、和歌山県田辺市本宮町で
共通巡礼達成登録者数(累計)
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