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脱炭素へ 取り組み加速 太陽光発電やLED、和歌山県田辺市

カードゲームを通じて脱炭素についての理解を深める田辺市職員ら(和歌山県田辺市役所で)
カードゲームを通じて脱炭素についての理解を深める田辺市職員ら(和歌山県田辺市役所で)
 「脱炭素社会」の実現に向け、和歌山県田辺市がさまざまな取り組みを進めている。公共施設に太陽光発電設備を導入したり、照明をLED化したりしているほか、若手職員らを対象にした研修も実施。市が率先して取り組むことで、地域全体での温室効果ガス排出削減を目指していきたいという。


 地球温暖化が世界的な課題となる中、政府は2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする目標を掲げており、各自治体にも脱炭素への取り組みが求められている。

 市は、市有施設の太陽光発電設備について、初期費用をかけず再生可能エネルギーを利用できる「電力購入契約(PPA)」を導入。23年度以降、行政局や学校、田辺スポーツパーク体育館など防災拠点となる計23施設に設置した。

 発電事業者が自らの負担で太陽光パネルと蓄電池を設置し、市は使用電量に応じ電気料金を支払う仕組み。温室効果ガスの排出を抑えると同時に、災害発生時の電源確保に備える。これにより、年間約313トンの二酸化酸素(CO2)が削減できる見込み。

 市有施設の照明についても、24年度からLED化に取り組んでいる。

 初期投資がかからないリース事業を活用。道路灯などの屋外灯は、24年度に約1200灯をLED化した。学校などの市有施設(延べ床面積千平方メートル以上、年間500時間以上点灯)の屋内灯については、24年度に24施設(約8700灯)、25年度にも37施設(約1万2300灯)をLED化する予定。これにより、年間約679トンのCO2が削減できる見込み。

 さらに、24年度には若手職員で構成する脱炭素企画専門部会を設置。部署の垣根を越えて18人が集まり、脱炭素に向けた意識を高めるための研修をした。

 カードゲームを通じて理解を深めるワークショップも実施。「商社」や「電力会社」などさまざまな立場に分かれ、温室効果ガス排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」と、経済成長をどう両立させていくかを疑似体験した。

 参加した管理課の橘知希さん(27)は「自分の利益を目指すだけではなく、全体を見渡しながら協力して取り組んでいくことの大切さを実感した。今後の業務に生かしていきたい」と話した。

 市環境課の担当者は「脱炭素に向け、自治体や企業、市民がそれぞれできるところから始めることが大切。市民の皆さんも、身近なところから取り組んでほしい」と話している。

■資源循環へ3者協定

 「サーキュラーエコノミー」(循環経済)の実現に向けて、田辺市はこのほど、ENEOS(エネオス)、サントリーホールディングスの2社と包括連携協定を結んだ。

 サーキュラーエコノミーは、連携して廃棄物を出さない経済システム。協定に基づき、市内の一般家庭で排出される使用済み食用油から再生航空燃料(SAF)を製造▽市が収集した使用済みペットボトルを新たなペットボトルに再生する「水平リサイクル」―などの取り組みを進める。

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