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「蘇りの地」で観光復活を コロナ影響踏まえ和歌山県が振興策

熊野本宮大社の大鳥居
熊野本宮大社の大鳥居
 和歌山県は26日、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた観光振興策を発表した。6月から「蘇(よみがえ)りの地、わかやま」キャンペーンとして、県内需要を喚起した後、状況を見ながら県外や海外から誘客を図るなど、段階的に事業を進めていく。


 県が発表したのは「県観光振興実施行動計画」とその「別冊」。計画は「観光立県推進条例」に基づいて、毎年策定しているが、本年度はこの前段階として、新型コロナへの対応を踏まえた「別冊」も作った。

 県はすでに観光関連施設などへの休業要請を解除したが、県外客の受け入れ自粛は継続して求めている。

 政府は25日、対処方針を改定。都道府県をまたぐ不要不急の移動自粛は引き続き求める一方、観光振興は県内から徐々に進め、6月19日以後に都道府県をまたいで取り組むこと、とした。

 県の「別冊」によると、当面は事業継続に向けた支援金支給や融資の活用を促し、感染拡大予防のためのガイドラインを業種別に策定し、取り組みを推進する。

 6月1日からは、県内の豊かな自然でリフレッシュしてもらう「蘇りの地、わかやま」キャンペーンを実施する。県や県観光連盟がさまざまな会員制交流サイト(SNS)で海や山、川などの観光資源の魅力を発信。県にゆかりのある著名人による「高野山・熊野を愛する100人の会」会員にもPRを依頼する。

■段階的にPR拡大
県内→県外→海外

 県内での周遊を進める具体策として、まず県内需要を高めようと、県民が県内の宿泊施設や観光施設を利用する場合、利用料金を一部補助する事業を計画。6月9日開会予定の県議会6月定例会で関連予算が可決されれば、開始したいという。

 政府が県外観光の自粛を緩和すれば、県産品や宿泊券などが当たる複数の「スタンプラリー」事業を実施し、県外にPRする。

 新型コロナ流行の沈静化が見通せた段階になれば「蘇りの地、わかやま」キャンペーンの第2弾を実施する。鉄道や航空、高速道路会社などと連携したPR事業や、県内宿泊者に抽選で現金や県産品が当たる宿泊促進事業、「水」「自転車」「歴史」といった切り口からのPRに取り組む。

 その後、海外からの取り込みを目指す。欧米豪の個人客向けに、首都圏から熊野古道周遊につなげるモデルルートや紀伊半島周遊ツアーを団体などと連携して策定。宿泊者の落ち込みが大きい国や地域を中心に旅行博覧会や商談会に出展したり、取引のある旅行会社やメディアを「ローラー作戦」で訪問したりする。

 仁坂吉伸知事は記者会見で「観光産業は壊滅的打撃を受けている。これを救わないといけない。なかなか簡単に、V字型で回復するとは思わないが、県内のいい所をどんどんPRして、時間をかけて元を超えるレベルにすることを目指す」と話した。

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