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狙いは「低山トラベラー」 関係人口増加へ田辺市が新講座

熊野古道・潮見峠越ルートの「ひるね茶屋」
熊野古道・潮見峠越ルートの「ひるね茶屋」
 和歌山県田辺市は本年度、地域と継続的に関わる「関係人口」づくりを目指した新しい講座を計画している。ターゲットは首都圏在住で、歴史や文化を探訪しながら山歩きを楽しむ「低山トラベラー」。講義や体験を通じて世界遺産・熊野古道沿いの暮らしや現状への理解を深め、課題解決の力になってもらうことを期待している。

 関係人口は、移住の「定住人口」と観光の「交流人口」の中間で、特定の地域と多様に関わり続ける人々のこと。人口減少に悩む地方にとっては地域づくりの担い手として、都市部の人々にとっては自己実現の機会として注目されている。

 市は2018年度から、首都圏在住者を対象にした関係人口養成講座「たなコトアカデミー」を開講。これまで約30人が受講し、修了後も地域と関わり続けている。

 今回の講座は、登山愛好者を対象に設定した。市では04年に熊野古道が世界遺産に登録されて以降、訪日外国人観光客は大幅に増加しているが、国内観光客は微増にとどまっている。

 国内観光客の掘り起こしやリピーター客の獲得、交流人口から関係人口へと深化させていくことなどを検討した結果、山里の営みを感じながら各地の低山を歩く「低山トラベラー」に着目したという。

 定員は10~20人程度を想定。今後の新型コロナウイルス感染症の状況次第だが、10月ごろの開講を目指している。

 東京都内で4回程度、座学の講座を開くほか、市内で熊野古道トレッキングや農村体験などをするフィールドワークも予定している。低山トラベラーの第一人者である大内征さん(東京都)が講師として講座に参加、市熊野ツーリズムビューローや農業体験型施設「秋津野ガルテン」、市の人材育成事業「たなべ未来創造塾」の修了生らとも連携しながら取り組む。

 また、国内最大級の登山アプリ内にサイトを立ち上げ、受講生らに熊野の情報を広く発信してもらう。

 この講座は総務省「関係人口創出・拡大事業」のモデル事業に選ばれており、事業費650万円はすべて国の補助。市は、この事業費を含む一般会計補正予算案を16日開会の6月市議会に提出する。

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