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名所のサクラとお別れ 猪之山公園、防災工事で伐採し供養へ

道路沿いにあるサクラ(和歌山県みなべ町芝で)
道路沿いにあるサクラ(和歌山県みなべ町芝で)
 和歌山県みなべ町芝、猪之山公園付近の急斜面で数年前から小規模な落石があり、県が年末の完了をめどにのり面の安定を図る工事を進めている。近く本格的に工事が始まるのに伴い、斜面沿いを通る町道芝崎東吉田線を20日から通行止めにし、植えられたサクラの伐採作業に入る。


 斜面の真下は墓地で、そのすぐそばには民家が広がっている。工事は、土砂災害を防ぐために町の要望を受けた県日高振興局建設部が、猪之山地区急傾斜地崩壊対策事業として実施。公園内にある「さくら会館」付近と、会館の下側にある町道沿いのそれぞれの斜面で工事を進める。総事業費は約7千万円。

 地元によると、猪之山は1914年から76年まで火葬場があった。その後は跡地が公園になり、花の名所にしようと住民でつくる花の会の有志と地元の法伝寺の役員が、76年11月20日に約200本のソメイヨシノを植えた。

 花の会が公園の管理や清掃に取り組み、桜まつりをしてライトアップもするなど花見客でにぎわった。枯れたり弱ったりしたサクラを何度も植え替えて40年以上、サクラの名所として親しまれてきた。

 花の会は、2018年に会員の高齢化などで解散。現在、斜面沿いに植栽されたサクラの一部には枯れたり傷んだりして折れた木も見られる。

 今回の工事で、サクラや他の木も伐採することから、法伝寺の田中隨晋住職が導師を務め、樹木の供養と工事の安全祈願を兼ねた法要を15日にさくら会館で営む。

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