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【動画】土石流の巨岩に慰霊碑 紀伊半島大水害、田辺市熊野で除幕

 紀伊半島大水害(2011年9月)で甚大な被害を受けた和歌山県田辺市大塔地域の熊野(いや)区が29日、大水害で土石流が発生した際に150メートルほど下流に押し流されたという巨岩に「土砂災害慰霊碑」などと刻んだ黒い御影石を取り付けて除幕した。関係者約30人が参列し、犠牲者の冥福を祈るとともに災害の記憶の伝承を誓い合った。

 熊野では台風12号に伴う豪雨により、9月4日、山腹が深層崩壊して土石流が発生。家屋や田畑を押し流し、3人が犠牲になった。

 熊野区によると、紀伊半島大水害が発生した年も含めて今年9月で「10年目の節目」になることや、復旧工事が続く同市木守に抜ける市道が本年度中に開通する見通しであることから、今年、災害慰霊碑除幕式と犠牲者慰霊祭を営むことにしたという。

 慰霊碑とした巨岩は復旧が進む市道沿いにあり、高さ約5メートル、幅約9・5メートル、奥行き約3・5メートル。重さは350トン以上とあるとみられる。取り付けた石版(縦約70センチ、横約90センチ)には「私たちはこの災害の記憶を忘れる事なく後世に伝えたい」などと決意を刻んだ。

 この日は突然の土砂降りの雨の中で営まれ、最初に岡田克哉区長(61)や真砂充敏市長、遺族代表の愛須東美子さん(57)=田辺市上秋津、世話人を務めた同市三川連絡所長の笠松芳和さん(66)が慰霊碑を除幕し、皆で黙とうした。

 岡田区長は「この岩が上流より濁流に押し流されてきた。当時の災害がどれだけ大きかったか分かる。犠牲になった方々の冥福を祈り、災害の記憶と教訓を後世に伝えたい」とあいさつし、真砂市長も「慰霊碑が建立されたことは犠牲者への追悼はもちろん、災害の教訓や戒めを未来に残していくという意味が込められていると思う。地域の再生はこれからの課題。住民の皆さんと共に地域づくりに取り組みたい」と述べた。

 犠牲になった榎本三喜夫さん(当時50歳)の同級生という清水万美さん(60)=上富田町市ノ瀬=が弔辞を読み上げた後、尋声寺(田辺市中三栖)の酒井秀瑞住職らが読経する中、参列者が慰霊碑に献花した。

 災害で母と兄、祖母を失った愛須さんは「この岩は災害当時から家があった場所の目印になっていたので、このように慰霊碑として残していただけ感謝の気持ちでいっぱい。ここへ来て、家族と関わったことや楽しかったことを思い出してくれたら一番うれしい」と話していた。

紀伊半島大水害で押し流された巨岩に取り付けた慰霊碑を除幕する関係者(和歌山県田辺市熊野で)
紀伊半島大水害で押し流された巨岩に取り付けた慰霊碑を除幕する関係者(和歌山県田辺市熊野で)
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