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コロナで休業の飲食店再開 「たくさんの応援に恩返ししたい」

営業を再開したねむの木食堂。中峯幸美代表(右)とスタッフ=和歌山県田辺市中辺路町真砂で
営業を再開したねむの木食堂。中峯幸美代表(右)とスタッフ=和歌山県田辺市中辺路町真砂で
 8月に経営者とスタッフが新型コロナウイルスに感染し、休業していた和歌山県田辺市中辺路町真砂の「ねむの木食堂」が営業を再開した。中峯幸美代表(39)は「たくさんの応援に支えられての再開。初心に帰り、新たな出発にしたい。お客さんを笑顔にして、恩返ししたい」と話している。

 ねむの木食堂は中峯さんとスタッフ3人の感染が分かり、8月16日から約1カ月間臨時休業した。感染拡大を最小限にするため、店名を公表。会員制交流サイト(SNS)でもそれまでに来店した人に保健所での検査を呼び掛けた。フロアの換気など対策はしており、PCR検査をした来客約140人は、すべて陰性と判明した。

 コロナ感染者への中傷や差別的な行動が目立つ中、公表には不安もあった。しかし、SNSを通じた反応は「店の感染予防対策はしっかりできていた」「好きで通っている。再開を待っています」「お体を大事にしてください」など励ましが大半だった。

 そんな中で「最初に感染が分かったスタッフを辞めさせていないのか」と聞かれたことに衝撃を受けた。「スタッフは感染リスクの高い接客や清掃、消毒を率先し、お客さんの安全を守ってくれていた。辞めてもらっては困る。みんなで一緒に頑張ろうと誓った」という。

 スタッフ間で感染が広がったのは、調理場の換気が少なかったためと考えている。夏場は虫の混入などを気にして換気扇に頼りがちだった。「調理場の設備を大幅に変えるのは難しい。時折、空気全体を入れ替えることが大切」と同業者にも呼び掛ける。

 営業は9月17日に再開した。「当初はお客さんが来てくれるか。来店してくれても、感染があったことを知った上でのことなのか。不安でソワソワした」。しかし、全て承知で駆け付けてくれる常連客が多く、地元からの弁当の注文も増えてきたという。

 中峯さんは「コロナ禍で、たくさんの人に支えられていることにあらためて気付いた。感謝の気持ちでいっぱい。接客や料理を通じ、誠意を伝えたい」と話している。

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