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米軍音楽隊が追悼演奏 龍神のB29搭乗兵慰霊碑前

慰霊碑前で演奏する米国空軍太平洋音楽隊=17日、和歌山県田辺市龍神村殿原で
慰霊碑前で演奏する米国空軍太平洋音楽隊=17日、和歌山県田辺市龍神村殿原で
 和歌山県田辺市龍神村殿原にある、太平洋戦争末期に墜落した米軍爆撃機B29に搭乗していた米兵の慰霊碑前で17日、米国空軍太平洋音楽隊による追悼式典があった。


 音楽隊は東京・横田基地を拠点に活動しており、6年前に殿原を訪れて追悼式典を営んだ。今回は戦後75年に合わせて再訪し、県隊友会(木下晴夫会長)の協力を得て式典を催した。

 殿原の住民は、B29が墜落した年から米兵の慰霊を続けており、碑は現在惣大明神の敷地内にある。この日、音楽隊の隊員や陸上自衛隊第37普通科連隊の豊村健第2中隊長ら自衛隊関係者、隊友会、地元区民らが参列。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、前回の追悼式より規模を縮小した。

 式典は両国の国旗を先頭に音楽隊のメンバーが入場して碑の前で整列。米国の国歌を斉唱した後、地元区民を代表して殿原区の深瀬武文区長(67)があいさつし、2回目の追悼演奏に感謝の言葉を述べ「碑を守り、慰霊祭をして戦争が二度と起こらないように祈っている。催しを通じて、地元の世界平和への祈りを知ってもらいたい」と話した。

 音楽隊の金管五重奏「パシフィック・ブラス」のメンバーが、乗組員の追悼と地元への感謝の気持ちを込めて4曲を演奏。碑前には搭乗兵の集合写真が飾られ、菊の花が供えられた。

 墜落現場を小学生の時に見た故・古久保満璃子さんが歌詞を手掛け、龍神村の元集落支援員永渕房夫さん(上富田町朝来)が作曲した「殿原の祈り」も、地元への感謝を込めて演奏した。歌詞には恒久平和の願いが込められている。

 音楽隊の隊長、マイケル・D・ハーバー少佐(45)は「かつて両国は戦争で戦ったが、(碑や式典を見ると)いろいろな違いを乗り越えて共有できることを見つけ出したと思う。殿原の皆さんが米兵のために慰霊を続けてくれていることに感謝している。慰霊を続けていくことは、平和への最初の一歩だ」と話した。

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