和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

飲食店、コロナ対策で苦心 忘年会シーズン前に試練

壁をくりぬいて新たに設けた窓。営業中は開放している。(和歌山県田辺市湊で)
壁をくりぬいて新たに設けた窓。営業中は開放している。(和歌山県田辺市湊で)
カウンターに間仕切り、マイクにカバーを付けるなど対策に苦心しているスナック(田辺市湊で)
カウンターに間仕切り、マイクにカバーを付けるなど対策に苦心しているスナック(田辺市湊で)
 新型コロナウイルスの1日当たりの和歌山県内感染者数が19日、過去最多となった。紀南の飲食店の多くは、換気や消毒などコロナ対策に苦心しているが「せっかく回復傾向だったのに一転、厳しくなった」と忘年会シーズンを前に再び試練を迎えている。

 田辺市の飲食街「味光路」にある居酒屋「徳乃」は、換気対策のため、壁をくりぬいて窓を一つ増やした。営業中は窓を開放している。

 カウンターと客席の間には透明の間仕切りを設置。客席と客席の間も要望に応じて仕切れるようにした。消毒液も各所に設置。「できる限りのことはしている」と話す。

 それでも客足は鈍い。「夏に落ち込んだ後、回復傾向だったが、最近のコロナのニュースでまた鈍った。これから換気と寒さ対策の両方が必要になる。団体は見込めないが、少人数のグループに安心して使ってもらえるようにしたい」と空気清浄機の購入も決めた。

 田辺市湊の居酒屋「膳」は15分に1回、換気している。玄関ドアを開放するため、換気の前は室温を上げるなど温度調節する。ドアに近い席には暖房機も導入した。

 会社の忘年会は少ないが、少人数グループの予約は入っている。例年は大きな鍋を用意していたが、1人ずつの小鍋に変更するなどメニューでも感染防止対策をしている。

 居酒屋以上にコロナによる打撃を受けているのがスナック。湊のスナック「らん」では、カラオケで歌い手が変わるごとに、マイクの消毒に協力を求め、布製のマイクカバーも付ける。

 「開業して35年以上。店と一緒にお客さんも年を取った。『行きたいけれど、子どもに止められる』という人も多い。でも、常連客ばかりだから安心して店を開けられている面もある。大きな声で誘えないけれど、来られる時に顔を出してもらえればうれしい」と苦しいながらも営業を続ける覚悟だ。

 田辺市が、新型コロナ対策に取り組んだ上で対策内容を店頭に掲示している飲食店、カラオケ店、宿泊施設に支給する「奨励金」制度には18日現在、543件の申請がある。

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