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すさみのレタス守りたい 脱サラして郷里で栽培

脱サラして「すさみ産のレタス」を生産、PRする矢形孝志さん(右)。母親の久代さんは農業の〝師匠〟という=和歌山県すさみ町太間川で
脱サラして「すさみ産のレタス」を生産、PRする矢形孝志さん(右)。母親の久代さんは農業の〝師匠〟という=和歌山県すさみ町太間川で
 和歌山県田辺市目良の矢形孝志さん(52)が、脱サラして出身地のすさみ町太間川でレタスの栽培に取り組んでいる。町は国内レタス栽培発祥の地。「この灯を消すことなく継承し、次世代へ伝えていきたい」という。現在、普及に力を注いでいる。

 矢形さんは高卒後、ホテルマンとして長く勤務。昨年3月、飲食部門のマネジャーとして働いていた同市内の宿泊施設を退職した。

 農業の道へ進むきっかけになったのは、50歳になって新しいことに挑戦したいと考えていた時に、知人から「2021年は、すさみ町でレタス栽培が始まって80年になる」と聞いたこと。県農林大学校就農支援センター(御坊市)の社会人課程で基本から学び、このほど修了した。

 太間川地区にある農地の15アールほどでレタスを栽培している。温度管理の手間は掛かるが、昼と夜の寒暖差が甘みを生む。収穫は2、3日に1回。触り心地を大切にしており「見た目より軽いもの」が特においしいという。いまは「レタスのふるさとすさみ」とPRしており、町内の飲食店などに提供している。

 以前とは異なる仕事だが、人に喜んでもらえる点は宿泊業も農業も同じで、それがうれしいと矢形さんは話す。「やりたいことに集中できる環境があるし、ストレスはない」。実家は農業を営んでいて、母親の久代さん(80)がときどきけんかもする〝師匠〟だと笑う。

 最近は、町内の若者や移住者が収穫体験に来たり、栽培に興味を持ったりしてくれるようになった。こんな人たちや、これまで栽培を続けてきた先輩たちと一緒に盛り上げていきたいという。サラダ以外での使い方も提案していくつもりだ。

 町誌などによると、町でのレタス栽培は1941年ごろに始まった。栽培農家は多い時で100軒を超えていたが、現在は10軒に満たないという。

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