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地元の画家モデルにした絵本出版 上富田の作家富田さん

絵本を持つ富田翔吾さん(左)と、主人公のモデルとなった画家の山本祐也さん=和歌山県上富田町市ノ瀬で
絵本を持つ富田翔吾さん(左)と、主人公のモデルとなった画家の山本祐也さん=和歌山県上富田町市ノ瀬で
 和歌山県上富田町市ノ瀬に住む作家、富田翔吾さん(59)は、市ノ瀬の画家、山本祐也さん(34)をモデルにした絵本「みんなぬってるかい!ローラーくん」(絵・藤井孝太、三恵社)を出版した。主人公の「ゆうやくん」が、画材をモチーフにしたキャラクターと力を合わせて絵を完成させる物語。絵本には山本さんが描いた抽象画を取り入れている。


 山本さんは脳性まひの障害があり、車いすで生活している。17歳から絵画を始め、ペイントローラーを使うなどさまざまな手法で抽象画を描いている。

 富田さんは、社会に貢献できることがしたいという思いから、2020年に地元の金融機関を退職して「命の大切さと反戦」をテーマにしたSF小説を出版。小説のほかにも「友情と絆」をテーマにした絵本について構想を練っていたところ、同じ市ノ瀬に住む山本さんの作品に出合い、抽象絵画を取り入れることを思い付いたという。

 絵本には、「ゆうやくん」の大切な相棒として、ペイントローラーをモチーフにした「ローラーくん」が登場。絵の具やキャンバスを表現したキャラクターとともに、力を合わせて絵を描き上げる物語になっている。ローラー技法を用いた作品を中心に、山本さんの油彩画9点も取り入れている。

 山本さんは「キャンバスだけでなく、新しく絵本という形で自分の作品を発表できて非常にうれしい。コロナ禍で展示会などが中止となり、当面の目標を失いかけていたところだったので、新しい夢が広がった」と笑顔を見せた。

 キャラクターのデザインやストーリーを手掛けた富田さんは「絵本を読んでもらうことで、友情や絆の大切さ、山本さんの作品の素晴らしさを伝えられたら」と話した。次回作についても準備しているという。

 絵本は4月29日に発刊し、地元の図書館や学校、病院などに寄贈した。価格は1650円(税込み)。

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