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ベトナムに温州ミカン輸出へ 和歌山県が全国初

和歌山県産温州ミカンを日本で初めてベトナムに輸出すると発表する県やJAの関係者(11日、和歌山県庁で)
和歌山県産温州ミカンを日本で初めてベトナムに輸出すると発表する県やJAの関係者(11日、和歌山県庁で)
 和歌山県とJAグループ和歌山、JETRO和歌山(和歌山貿易情報センター)は11日、温州ミカンを、ベトナムに全国で初めて輸出すると発表した。10月1日に輸出が解禁されたためで、12月上旬から高級スーパーマーケットなどで販売される予定という。

 国内からベトナムにミカンの輸出予定があるのは今季は県産だけ。JAありだ管内の登録園地で生産した約2トンを輸出する予定で、需要が見込めれば、今後増やしていきたいという。

 ベトナム向けに、かんきつ類の輸出を早期に実現するため、県は2017年度から国に対し要望を続けていた。そんな中、菅義偉前首相が昨年10月、ベトナムのフック首相(当時)に提案し、2国間協議が進んだという。

 輸出が可能となるのは、植物防疫所に登録し、ベトナム当局による査察を受けている、ベトナムにはない害虫の「ミカンバエ」が発生していないなどの条件を満たした園地で生産したミカン。

 現時点の県内登録園地は、JAありだ管内の有田川町と広川町の12園地計213アールだが、現地の消費者に受け入れられれば、今後、紀南なども含め、拡大を検討するとしている。

 県によると、温州ミカンのように手で皮がむけるミカンは、現地でも生産され、オーストラリアからも輸入されているが、県産は糖度と酸味のバランスや種がないことが強みになると考えられるという。

 JETROや日本大使館などは12月上旬、ベトナム・ホーチミン市の高級スーパーで、PR活動を予定している。

 記者会見した県農林水産部の岩本和也部長は「県は県産果実の輸出に力を入れているが、ベトナムへの輸出は販路開拓のチャンスと捉えている。産地やJAグループなどと連携してしっかりと取り組んでいきたい」、県農業協同組合連合会の楠本健次理事長は「今季の輸出量は多くないが、少しでもベトナムの皆さんにおいしい和歌山のミカンを賞味いただきたい。生産者の所得を少しでも向上するため、輸出についても力を入れていきたい」と話した。

 20年度の県産温州ミカンの生産量は16万7100トンで、17年連続で全国一。このうち、香港に163トン、シンガポール30トン、マレーシア17トンなど計218トンを輸出している。

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