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「光丸うすい」栽培技術確立へ 省力化期待、研究進む

大野光男さんが育てる「光丸うすい」(左手)と「きしゅううすい」。「光丸うすい」の方が草丈が短い=みなべ町東本庄で
大野光男さんが育てる「光丸うすい」(左手)と「きしゅううすい」。「光丸うすい」の方が草丈が短い=みなべ町東本庄で
 みなべ町など日高地方で栽培が盛んなエンドウの有力品種として期待される「光丸(みつまる)うすい」は、栽培技術の確立に向けての研究が続けられている。草丈が短いことで作業が楽になるという優位性があるが、シーズン初期の収穫量や秀品率の面で課題がある。収穫量増加の研究は成果が見えており、今後秀品率の向上も目指す。


 「光丸うすい」は、エンドウの主品種「きしゅううすい」の変異個体として、みなべ町東本庄の大野光男さん(68)の畑で2015年に見つかった。きしゅううすいよりも節間が短く、草丈が約75%と短いのが特徴で、収穫などの作業がしやすくなるといった優位性がある。

 大野さんによると、草丈が長いと作業は脚立に乗るなどしてしなければならないが、短ければ楽になり危険性も少ないという。大野さんは品種登録を出願し、登録されるのを待っている。品種名は当初「みなべ短節間(たんせっかん)」だったが、その後に変更した。「光丸」は自身の名前の一文字を取って付けたという。

 優位性がある一方で、開花が遅く、市場価格が高いシーズン初期の収穫量が少ないという課題がある。このため県農業試験場暖地園芸センター(御坊市)が「農林水産業競争力アップ技術開発事業」として、20年度から3年計画で研究を続けている。

 センターによるとこれまでの研究で、秋に種をまいてハウスで育てて冬春に収穫する作型では、通常より5日早く種をまくと収穫時期が早くなり、収穫量が増加したことが確認できた。さらに、開花を促進するために実施する電照の期間を、通常の2週間から4週間に増やすことで開花が2日早まったことも確認できた。まく種は気温が低い時期に取ったものを使う方が開花が早いとされており、今回の研究でも確認された。

 センター研究員の宮前治加さんは「収穫時期を早め、収穫量を増やす対策については手法が分かってきた」と話す。

 課題としては、温度が低いと秀品率が下がるといったことも指摘されている。これについては、日当たりを良くしたり、ハウス内の日中の気温を高くしたりするなど今後も研究を続けたいという。

 宮前さんは「今後、農家も高齢化が進むことが予想され、作業の省力化は重要。センターでは以前から節間が短いウスイの品種開発を目指しており、今回の変異個体の発見で進んだ。有力な品種となるよう栽培技術を確立したい」と話している。

■研究成果をネット配信

 県は22日から3月22日まで、農林水産関係の試験研究の成果を動画投稿サイト「ユーチューブ」で配信する。「光丸うすい」の研究も取り上げる。

 視聴希望者は、2月15日までに暖地園芸センターなど各試験研究機関に申し込みが必要。問い合わせは、県農林水産総務課研究推進室(073・441・2995)へ。

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