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なんたん蜜姫で芋焼酎試作 和歌山県串本町、商品化へ試飲

試作品が完成した「なんたん蜜姫」を使った芋焼酎を持つ柴田明夫会長(左)と田嶋勝正町長=28日、和歌山県串本町サンゴ台で
試作品が完成した「なんたん蜜姫」を使った芋焼酎を持つ柴田明夫会長(左)と田嶋勝正町長=28日、和歌山県串本町サンゴ台で
 本州最南端の町・和歌山県串本町特産のサツマイモ「なんたん蜜姫」を使った焼酎の試作品が完成した。生産者らでつくる「なんたん地域活性化協議会」(柴田明夫会長)が同町から打ち上げられる小型ロケットによる観光も見据え、串本ならではの土産物になればと企画。地元の飲食店などで試飲をしてもらってアンケートを取り、2022年度中の商品化を目指す。


 なんたん蜜姫は同町の潮岬地区で古くから栽培されてきたというサツマイモで、果肉が赤みを帯びた鮮やかな黄色でねっとりとした食感を持ち、濃厚な甘みがあるのが特徴。「サイパン」と呼ばれて栽培されてきたが、品質が異なる系統が混在していたことから2009~13年に関係者が共同で品質の優れた系統を選抜。「なんたん蜜姫」と名付けてブランド化に取り組んでいるものの、近年は生産者の高齢化や耕作農地の減少に伴い、収穫量も減っているという。

 同町の潮岬・大島集落ネットワーク圏の活性化に取り組む「なんたん地域活性化協議会」は、栽培に取り組んできた「串本さつまいも会」が母体となり、地域住民も加わって昨年3月に発足。総務省の「過疎地域等集落ネットワーク圏形成支援事業」に採択され、耕作放棄地の活用による増産や獣害防止のための電気柵設置、電動アシストスーツの導入といった事業のほか、加工品のバリエーションを増やすことや規格外品の活用などを目的に、昨年秋に収穫したサツマイモで酒造業者に委託して焼酎の試作も進めていた。

 完成した試作品の発表が28日、同町サンゴ台の町役場であった。

 協議会によると、昨年収穫したサツマイモ約550キロを長崎県にある「梅ケ枝酒造」に送り、720ミリリットルの瓶に入った焼酎745本を製造してもらった。アルコール度数は25度という。

 同町田原に日本初の民間ロケット発射場「スペースポート紀伊」ができることから「ロケットとともに町を盛り上げていく起点に」との思いで、ロケットの名前「KAIROS(カイロス)」にちなんで「なんたん蜜姫芋焼酎 KAIROS」と命名。ラベルには、同町の名所である橋杭岩などをデザインした。

 柴田会長(72)は「風味がはっきり出ており、なんたん蜜姫を純化したような感じの焼酎で、特に女性の方に飲んでいただきたいような味に仕上がった。名称もインパクトがあると思うし、商品化に向けて取り組んでいきたい」と話している。

 田嶋勝正町長も「フルーティーな香り。町としてもなんたん蜜姫を大きく売り出したいとかねがね思っており、芋焼酎の製品化に向けて取り組んでいただいているのは大変うれしい。ロケットの打ち上げにはたくさんの観光客が来られると思うが、多くの皆さんに手に取ってもらいたい」と期待していた。

 県内に適用されているまん延防止等重点措置の解除後に、町商工会に加入している飲食店など約20店舗で試飲できるようにするという。問い合わせは町産業課(0735・62・0558)へ。

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