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震災復興のイメージ考える みなべ町で住民ワークショップ

グループワークで課題について意見を出し地図に記入する住民(和歌山県みなべ町芝で)
グループワークで課題について意見を出し地図に記入する住民(和歌山県みなべ町芝で)
 和歌山県みなべ町は、近い将来発生が予想される南海トラフ巨大地震後のいち早い復興やまちづくりの基本方針となる「事前復興計画」の策定に向け、復興のイメージを考えるための住民を対象とした第1回ワークショップを1日から始めた。8日まで4日間に分けて同町芝の町役場で開き、住民の意見をまとめ、計画に反映させる。


 事前復興計画は、本年度中の策定を目指している。町が計画のビジョン編とプロセス編の素案を作成しており、各地区の自主防災会や各団体の代表らで組織する同計画検討委員会(平田隆行委員長)が、その内容について検討している。それとは別に、住民に事前復興の目的を理解してもらい、地区の課題を洗い出して復興の際のまちづくりの方向性を共有するとともに、住民の意見を計画に反映させることがワークショップの目的。

 今回の4日間を第1回とし、12月末までに内容を変えて第3回まで開く予定。津波被害が予想される南部、岩代、上南部地域計17区の住民が参加する。

 第1回の初日は東岩代、西岩代、気佐藤、千鹿浦の4区の住民計30人が参加。町の担当職員やコンサルタント業者が事前復興の目的やワークショップの概要を説明したほか、町消防防災室の越本進男室長が、東日本大震災の被災地で復興支援活動をした経験から、住民の意見を反映させながら進められた集団移転事業などについての事例を紹介した。

 その後、3班に分かれてグループワークを実施。町職員や和歌山大学の学生4人が各班で進行役を務めた。

 班ごとに、地区で「残していくべき財産」を挙げて地図に記入し、それぞれ被災後に「現地で再建」「別の場所で再建」「そのままなくすか遺産にする」のうちでどれを選択するかについて考えた。「道が狭い」など課題についても意見を出し合い、地図に記入し「課題マップ」を作成した。

 財産としては、神社や史跡、寺、小学校、駅、梅畑、田んぼ、海などが挙がった。課題については「道が狭い」という意見が多く、土砂崩れや池の決壊、住宅やブロック塀の倒壊などの可能性を指摘する意見もあった。

 和大システム工学部准教授の平田委員長は「みなべ町は歴史がある町で、ウミガメの産卵地など自然も豊か。なくなっては困るというものは、まだまだあるのではないかと思う。ぜひ思い出してほしい」と呼びかけた。参加者は年配の人から若者まで幅広かったが、女性がいなかったことに触れ「さまざまな目線が必要。家で女性にも聞いてみて」と話した。

 町内の民間災害ボランティア団体「紀州梅の郷救助隊」に加わる同町東岩代の中本朋章さん(47)は「事前に復興のイメージをみんなで決めておくのは重要だと思う。今日参加してみて、人の考えを聞くのはいいし、他の地区の状況を知ることもできると思った。まちづくりを考えるいいきっかけにもなる」と話していた。

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