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知事が財政危機警報 和歌山県、新年度は「見直し元年」

2023年度一般会計当初予算案について発表する岸本周平知事(和歌山県庁で)
2023年度一般会計当初予算案について発表する岸本周平知事(和歌山県庁で)
和歌山県が実質的に負担する公債費見込み
和歌山県が実質的に負担する公債費見込み
 和歌山県の岸本周平知事は、県財政に重大な危機が発生する恐れがあるとし「財政危機警報」を出した。借金返済額の増加により貯金が2年後の2025年度に枯渇し、予算編成が困難になると推計されたため。これを避けるため、23年度を「財政見直し元年」とし、公債費対策の基金創設など対策を示した。


 貯金に当たる財政調整基金と県債管理基金(財調・県債基金)は、22年度策定の「新中期行財政経営プラン」(5年間)通り、23年度は209億円確保される。このプランによると24年度は185億円、25年度は171億円、26年度も139億円が残ることになっていた。しかし、物価高騰や金利上昇などの影響を踏まえ、改めてこの先10年を推計したところ、24年度は半減し、25年度には枯渇。32年度には941億円の赤字となった。

 借金に当たる県債の残高増加に伴い、返済に充てる公債費が膨らみ、財政を圧迫するのが理由。県によると、県債残高は記録が残る1979年度から右肩上がりを続け、2023年度は過去最多の1兆822億円となる。25年度の1兆1257億円をピークに、やや減少するが32年度は1兆967億円と見込まれる。財政規模に対する借入金の負債の割合を示す「将来負担比率」は悪化傾向が続き、23年度の219%から、32年度には256%まで上昇すると推計された。財政規模が同じような他県と比較しても極めて高いという。

 その結果、公債費は23年度の717億円から増加し、32年度には894億円になると推計。このうち、後に国から交付税として措置される額を除く、県が実質的に負担する額は、23年度で225億円、32年度は約2倍の436億円になる。さらに金利が1%上昇すれば33億円、負担が増える。


■「やりくり」で3年延命 対策基金を創設

 岸本知事は「財政危機警報」の趣旨を「(このままでは)2年後に大変なことになるという危機感や問題意識を全県民と共有し、やりくりの予算に協力いただきたい」と説明。公債費の増加を抑制しながら、財政健全化を目指していくという。

 今後の公債費増を抑えるため、剰余金を活用し22年度補正予算案で83億5千万円の「公債費臨時対策基金」を創設。この先4年、基金を取り崩し、公債費の前年度からの増加分の半分に充てる。残り半分は、交付税措置の大きい県債への振り替えや、既存事業の見直しなどの「やりくり」で捻出する。それにより、財調・県債基金の枯渇を28年度まで3年間先送りできる計算となるため、この間に収支を改善させていきたいという。

 この基金は、県債基金とは趣旨が異なり、計画的に公債費増加分に充てる時限的なもので、全国的にも珍しいという。

 岸本知事はこれまでの財政運営について「各部署の仕事を全体として見ることに少し欠けていたのではないか」と指摘した。

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