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北山村の筏流しが「林業遺産」 和歌山県で初認定、「伝統を今に伝える唯一の例」

林業遺産に認定された「北山川の筏流し技術」(5月、和歌山県北山村で)
林業遺産に認定された「北山川の筏流し技術」(5月、和歌山県北山村で)
 和歌山県の北山村教育委員会は31日、かつては木材の輸送手段として地域の林業を支え、現在は観光事業に継承されている「北山川の筏(いかだ)流し技術」が、日本森林学会(東京都)の「林業遺産」に県内で初めて認定・登録されたと発表した。選定では「伝統的な筏流しの姿を今に伝える全国唯一の例」などと評価された。6月3日に同村で認定証の伝達式がある。


 日本で唯一の飛び地の村である北山村の「筏流し」は、良質な木材を熊野川の河口まで搬出輸送するため、16世紀ごろから始まった。最盛期には数百人の筏師がいて、地域の林業を大きく支えたが、道路網の整備に伴うトラック輸送への転換などによって1963年5月が最後になったという。

 現在はその技術を観光に活用している。毎年5~9月に「北山川観光筏下り」として運航し、約7千人が体験。2017年3月には県の無形民俗文化財に指定されている。

 林業遺産は、学会100周年を契機として、国内各地の林業発展の歴史を記憶・記録していくための試みとして13年度に始めた事業。

 北山村教委では会員からの推薦を受け「木の国=紀の国の語源となるほど、山の資源に恵まれたわが県の歴史が色濃く残されている文化」などとして昨年11月、「北山川の筏流し技術」を日本森林学会に申請。学会選定委員会の審査で「熊野地域の林業の歴史と伝統を今日に伝えている」などと評価されたという。

 泉清久教育長(61)は「ひとえに先人の筏師たちの技と努力、その技術を脈々と引き継いできた現代の筏師たちの技と努力のたまものであり、深く感謝したい。今後もさらなる技術の研さんと筏師の養成が行われ、日本各地・世界各地へのPRとして、観光の振興につながることを祈っている」などと喜んだ。

 認定証伝達式は3日午前11時から、観光筏下りの「北山村オトノリ乗船場」で開き、山口賢二村長が観光筏下りを運航している会社「北山振興」の山本正幸代表取締役に認定証を手渡す。林業遺産は今回の筏流しを含めて全国で50件になったという。

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