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空き家バンク利用登録者急増 和歌山県、地方移住のニーズ高まる

空き家バンク利用の新規登録者数
空き家バンク利用の新規登録者数
 和歌山県内で空き家の賃借や購入を検討し、2022年度に県の「空き家バンク」に利用登録した人は626人で、過去最多だった前年度の3倍近くに急増した。地方移住のニーズが高まっていることや、登録手続きをしやすくしたことなどが要因という。


 空き家バンクは、県が15年度から、市町村や県宅地建物取引業協会と連携して運営している。

 住民は売ったり貸したりしてもよい空き家物件を、所定の手続きを経て登録する。これに対し、空き家を探したい移住希望者らは利用登録した上で、県のホームページ(HP)「わかやま住まいポータルサイト」で希望の物件を検索する。不動産会社が提供する物件も閲覧でき、希望の物件があれば、借りたり購入したりできる。

 空き家バンクの利用を希望する新規登録者数は、制度を始めた15年度は12人だったが、毎年増加。21年度は221人で、22年度はさらに大幅に増加した。

 県によると、これまで、利用登録するためには書類を郵送する必要があったが、22年度からスマートフォンやパソコンからでも可能にするなど利便性を高めたことが影響したとみている。全国的に生活スタイルの見直しが進む中、地方での生活を希望する人が増えていることも要因といい「この変化を逃さずに取り組んでいきたい」としている。

■空き家の登録も増

 一方、空き家の登録数が増えていることも利用登録者増を後押ししているという。空き家の新規登録数は15年度は55件だったが、16年度から100件前後を推移、22年度は174件となり、過去最多だった19年度の130件を大幅に上回った。これは、県への空き家相談を促すリーフレットを、振興局や市町村役場、金融機関で配布するなど、空き家「掘り起こし」に力を入れていることなどが要因という。

 物件情報を閲覧しやすくする工夫も始めた。利用登録者に物件をより分かりやすく紹介するため「360度VR案内」を導入。遠方に住んでいる人でもオンライン上で操作すれば、360度の画像が閲覧できるようにしている。今後、対応する物件を増やしていきたいという。

■物件登録は873件

 空き家バンクの物件登録件数は22年度末時点の累計で873件。このうち約300件(賃貸借約160件、売買約140件)の成約につなげている。

 県内の空き家は18年の調査で約9万8400戸あり、空き家率は全国2番目に高い20・3%。今後も全国的に空き家が増えるとみられ、対策が求められている。

 県は、空き家に関する知識を持った県職員や市町村職員の育成など課題もあるが、HPのアクセス数も多いといい、空き家活用推進に向けて、取り組みを進めていきたいとしている。

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