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熊楠研究に若手よ集え 和歌山・田辺市に交流滞在施設、費用は実費のみ

南方熊楠の研究者や大学生のフィールドワークを支援する交流滞在施設「萃点」=和歌山県田辺市中屋敷町で
南方熊楠の研究者や大学生のフィールドワークを支援する交流滞在施設「萃点」=和歌山県田辺市中屋敷町で
萃点で打ち合わせをする田村義也さん(中央)
萃点で打ち合わせをする田村義也さん(中央)
 和歌山県田辺市中屋敷町の南方熊楠顕彰館近くに、熊楠の研究者や大学生のフィールドワークを支援する交流滞在施設「萃点(すいてん)」がオープンした。南方熊楠顕彰会は「若い世代が長期滞在して研究を進められる」と期待している。


 顕彰会は1987年に発足し、熊楠邸内の資料の調査研究や整理保存などに取り組んできた。大学の長期休暇中に研究者が訪れ作業に当たっていたが、宿泊はホテルを利用することになり、費用がかさんだ。

 こうした経緯を知る顕彰会元常任委員長の多屋昌治さん(中屋敷町)が、滞在施設としてかつての住居の提供を申し出た。まちづくり会社「南紀みらい」(湊)が管理運営している。

 施設は木造2階建てで、ダイニングやキッチンの機能がある1階が29・75平方メートル、寝室となる2階が23・14平方メートル。平屋の離れ(26・65平方メートル)もある。研究者は光熱費など実費のみで滞在できる。

 名称の「萃点」は熊楠の造語で「さまざまなモノや事象が出合い、集まる交差点。そこで互いが交わり、ぶつかることで影響を与え合う場所」とされている。

 4日に宿泊した顕彰会学術部長の田村義也さん(57)=成城大学非常勤講師=は「研究者にとって大変ありがたい施設。熊楠の未研究の資料はまだたくさんある。大学院生など若手の研究者に活用してもらい、将来熊楠研究の中核を担う人材育成につながればいい。さまざまな交流が生まれるのが楽しみ」と話した。

 熊楠の研究者以外でも、長期滞在して活動する大学生の拠点としての活用も想定している。7、8月には扇ケ浜海水浴場の海の家の運営に携わった関西大学の学生が利用した。

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