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「120年周期」ハチクが開花 南方熊楠が120年前に標本作成、和歌山・田辺市

雄しべを伸ばしたハチクの花(和歌山県田辺市下三栖で)
雄しべを伸ばしたハチクの花(和歌山県田辺市下三栖で)
南方熊楠顕彰館で保管されている120年前のハチクの花の標本(和歌山県田辺市中屋敷町で)
南方熊楠顕彰館で保管されている120年前のハチクの花の標本(和歌山県田辺市中屋敷町で)
 開花の周期が120年といわれる竹の仲間ハチク(イネ科)が、今年も和歌山県田辺市内の各地で花を咲かせており、ここ数年がピークとみられている。南方熊楠顕彰館(田辺市)学術研究員の土永知子さんは「120年前の熊楠の標本が残っている。生態は謎が多く、今回の開花と合わせ、解明につながる貴重な資料になる」と話している。

 田辺市内では今年、初夏の頃から道路脇などで花が見られたという。花はイネに似て雄しべが垂れ下がっていて花びらはなく、人目に付きにくい。2年前に開花が確認された竹林では、そのほとんどが枯れてしまっている。

 土永さんによると、ハチクは花が咲いても実はならないが、枯死して全滅するのではなく、根が生きていてタケノコを伸ばし、同じ場所で復活すると考えられている。ただ、開花周期が長いことから研究が難しい植物だという。

 顕彰館には、1900年代初頭の新聞紙に包まれたハチクの花の標本が保管されている。包んでいた新聞の日付は1901(明治34)年4月30日と03(明治36)年9月27日。標本作成には古新聞を使うため、熊楠の日記の内容などから、01~04年ごろに和歌山市、田辺市、那智勝浦町で採取されたものと推測されている。

 土永さんは「標本を包んでいた新聞の日付から今年でちょうど120年。その花をわれわれが見ているということに感銘を受ける。今回の開花も資料として後世に残し、研究の糧にしてもらいたい」と話している。

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