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県内事業者の6割が賃上げ 「人材確保のためやむを得ず」か、和歌山社経研調査

賃上げ実施事業者の割合
賃上げ実施事業者の割合
 和歌山社会経済研究所が県内事業者にアンケートしたところ、昨年より正規雇用者の給与を引き上げたと回答した事業者が60・8%に上った。この調査を開始した2014年以降で最高の割合。一方で、今後の賃上げ余力がないとの回答も多く、研究所は「人材確保のためにやむを得ず賃上げしている事業者が多い」との見方を示している。

 研究所は9月下旬までの約1カ月間、2千社を対象にアンケートをし、約700社から回答を得た。

 3月末時点の正規雇用者の給与(賞与、残業代は含まず)について、前年より引き上げたか聞いたところ、21・8%が「3%以上の増」、16・7%が「2~3%の増」、15・9%が「1~2%の増」、6・3%が「1%未満の増」と回答した。横ばいは36・5%、減少は2・7%だった。

 前年より増加させた事業所の割合は15~19年は55%前後を推移、新型コロナの流行が始まった20年は39・2%に落ち込んだが、その後回復傾向にあり、今年は昨年の45・7%から大きく上昇した。また「3%以上の増」の割合も昨年の10・5%から2倍以上に伸び、最高となった。

■支給企業の半数超で増 夏季賞与

 夏季賞与を支給した割合は73・1%で、昨年より0・5ポイント減少した。一方、支給した510社のうち50・4%が「増加」と回答した。この割合は3年連続で上昇し、昨年より13・3ポイント増。14年以降最高だった15年(41・7%)を上回った。これとは別に1・4%は、昨年は支給しなかったが、今年は支給したと答えた。

 総人件費の昨年からの増減については51・3%が「増加」とした。今後の賃上げ余力を聞いたところ「全くない」(12・8%)と「あまりない」(48・7%)の合計が「十分ある」(5・7%)と「ややある」(32・8%)を上回った。

 研究所は「2割超が物価上昇を上回る3%以上の賃上げをするなど、さらなる賃上げが期待されるが、県内事業者の収益水準が低下している。各社、新規事業開拓や価格転嫁交渉など取り組みを進めているが、人手不足が本格化し、進まないとの声も多い。資金面や情報面などの積極的な行政支援が重要になる」としている。
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