和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

佐藤春夫と谷崎潤一郎 「2人の深い関係」で企画展

約50年ぶりに一般公開された書簡などが展示されている佐藤春夫記念館の企画展(和歌山県新宮市新宮で)
約50年ぶりに一般公開された書簡などが展示されている佐藤春夫記念館の企画展(和歌山県新宮市新宮で)
 和歌山県新宮市新宮の佐藤春夫記念館で、作家の佐藤春夫(1892~1964)と谷崎潤一郎(1886~1965)の深い関係をテーマにした開館30周年企画展が開かれている。来年2月24日までで、今月14日と来年1月26日には辻本雄一館長(74)による展示解説も予定している。

 記念館は、東京都文京区にあった佐藤の邸宅を、新宮市が熊野速玉大社の境内に移築し、1989年11月に開館した。

 記念館によると、佐藤は先輩である谷崎によって才能を見いだされ、その推挙で中央の文壇に登場した。しかし、谷崎家に出入りする中で谷崎の妻・千代に恋心を抱くようになり、一時は谷崎が佐藤と千代の交際を認めたものの、やがて撤回して2人は絶交。その後、和解し、谷崎は千代と、佐藤も妻と離婚。佐藤と千代の結婚が成立したが、これが「細君譲渡事件」と言われ、世間の注目を集めた。

 千代は谷崎との間に生まれた鮎子を連れて佐藤家に嫁入りしており、後に鮎子は佐藤のおい・竹田龍児と結婚。佐藤家と谷崎家は縁戚関係となったという。

 企画展「佐藤春夫と谷崎潤一郎~離れえぬ縁(えにし)」では手紙や原稿、写真など約100点を展示。中でも、佐藤と千代の間に長男・方哉が誕生(1932年)したことを祝い、谷崎が佐藤に送った書簡は約50年ぶりの一般公開という。

 辻本館長は「展示を通じ、文学では互いに認め合い、あるときは私生活で対立し、ついには縁戚関係となった二人の文豪の切っても切れない関係を知っていただければうれしい」と話している。

 展示解説は午前10時半からと午後2時半から。定員は各回15人程度で、事前申し込みが必要。開館時間は午前9時~午後5時。入館料は一般310円、小中学生150円(土日曜は高校生以下無料)。

 問い合わせは記念館(0735・21・1755)へ。

公式SNS!フォローしてね!
友だち追加

アクセスランキング

趣味・娯楽

読者チャンネル

新着リリース

紀伊民報からのお知らせ