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正月に向けあぶりアユ作り 古座川町

備長炭でアユをあぶる東功さん(和歌山県古座川町月野瀬で)
備長炭でアユをあぶる東功さん(和歌山県古座川町月野瀬で)
アユに竹串を刺す東英子さん
アユに竹串を刺す東英子さん
 和歌山県古座川町内で、アユを薫製にする伝統の保存食「あぶりアユ」作りが始まっている。同町月野瀬の料理店「鮎のたなみや」には、正月料理用などに町内外から注文が入っており、東功さん(82)と妻の英子さん(80)が作業を続けている。

 あぶりアユは明治時代から古座川流域に伝わる保存食で、約1年間保存できるという。塩やショウガじょうゆを付けて食べたり、雑煮やお吸い物のだし、昆布巻きなどにしたりする人が多いという。注文は県内はもちろん、東京、千葉などからも毎年入っている。

 東さんらは、古座川流域で行われている伝統の「火振り漁」や「ササ立て漁」で取った落ちアユを使っている。脂が少なく、卵を持っていることもあり、あぶりアユに適しているという。

 土と砂を敷いたドラム缶に備長炭を入れて火をおこし、竹串に刺したアユを頭を下にして入れる。30~40分ほどあぶり、キツネ色になったら取り出す。英子さんは子どもの頃、親が作っているのを見て覚えたという。

 町内で生まれ育った東さんらは、古座川の自然の恵みとともに生きてきた。体力が衰えたため、40年以上続けてきた「火振り漁」を今年からやめたと話す功さんは「うちのあぶりアユは、水のきれいな支流のアユを使っている。そのままでもおいしく食べられる」と自信を持っている。

 子どもの頃から学校へ持って行く弁当だけでなく、おやつとしてもアユを食べていたという英子さんは「昔の人の知恵はすごい。一匹一匹こだわりを持って作っている」と話していた。

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