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標識の英語表記は半数 総務省が紀南の国立公園で調査

英語だけでなく、ピクトグラムも表記している標識(和歌山県那智勝浦町で)=近畿管区行政評価局提供
英語だけでなく、ピクトグラムも表記している標識(和歌山県那智勝浦町で)=近畿管区行政評価局提供
2011年の紀伊半島大水害で破損し、放置されている大型遊具「ローラースライダー」(和歌山県那智勝浦町で)=近畿管区行政評価局提供
2011年の紀伊半島大水害で破損し、放置されている大型遊具「ローラースライダー」(和歌山県那智勝浦町で)=近畿管区行政評価局提供
 総務省の近畿管区行政評価局は、和歌山県内の吉野熊野国立公園に設置された公共標識のうち、英語を併記しているものは約半数だったという調査結果を発表した。外国人観光客の増加を目指す中、外国語対応の推進が必要だとして、行政評価局は、環境省の近畿地方環境事務所に対し、改善措置を取ることや、県や市町村へ対応を促すことを求めた。

 国は、国立公園を含む自然公園について、外国人目線に立った対応を強化する方針を立てている。その実情を把握しようと、行政評価局が昨年5月~今年1月、管内の「吉野熊野」「山陰海岸」「瀬戸内海」の3国立公園の一部地域の主要ルートを歩いたり、設置管理者から聞き取りしたりして調査した。この結果、3公園で確認した標識637基中、英語を併記していたのは47・3%の301基だった。

 県内は吉野熊野国立公園の「勝浦・太地管理計画区」(那智勝浦町、太地町、新宮市)、「那智山管理計画区」(那智勝浦町)が調査対象。「勝浦・太地」では誘導標識40基中英語併記があったのは17基(42・5%)、案内図標識は16基中13基(81・3%)、解説標識57基中13基(22・8%)、注意標識36基中26基(72・2%)で合計は149基中69基(46・3%)だった。「那智山」では誘導標識61基中44基(72・1%)、案内図標識は15基中5基(33・3%)、解説標識9基中5基(55・6%)、注意標識4基中1基(25%)で合計は89基中55基(61・8%)だった。中には、英語併記に加え、より分かりやすく、ピクトグラム(絵文字)を使って注意喚起する標識もあった。

 このほか、老朽化や損壊などで情報が読み取れなかったり景観を阻害したりしている標識が複数確認された。標識とパンフレットに記載される地名や名称の英語表記が統一されておらず、誤認される可能性がある事例も分かった。

 標識以外では、転落防止柵やベンチなどが破損したまま放置されている、倒木でルートが通行できない―という所もあったが、多くは行政評価局の指摘を受け、設置管理者が撤去や修理した。

■破損のまま大型滑り台 那智勝浦

 一方、那智勝浦町の「那智山」では、全長約133メートルの大型滑り台「ローラースライダー」が2011年の紀伊半島大水害により破損したままで、町は行政評価局に対し「景観に配慮すべきだが、修復は困難で、撤去にも相当の費用がかかり、対応に苦慮している」と話しているという。

 行政評価局の大西圭司評価監視調査官は「外国人観光客の受け入れ増加を目指す中、標識の多言語対応は重要。約半数が対応していることが分かったが、100%を目指していただきたい。施設の老朽化や破損については、巡回や点検が不十分と感じる所も多々あった」と、設置管理者に改善を求めている。

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