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重文の芦雪障壁画修繕へ 串本の成就寺

修繕されることになった長沢芦雪の障壁画(和歌山県串本町西向で)
修繕されることになった長沢芦雪の障壁画(和歌山県串本町西向で)
 和歌山県串本町西向の成就寺(大崎實宗住職)が所蔵している江戸期の絵師、長沢芦雪(1754~99)が描いた国指定重要文化財の障壁画が修繕されることになった。関係者らが20日に同寺を訪れ、京都国立博物館修理所へ搬出した。

 芦雪は33歳の頃、無量寺(串本町串本)住職の招きで師・円山応挙の代理として紀南地方を訪れ、成就寺や無量寺などで数多くの障壁画を描いた。

 成就寺は、芦雪が紀南地方で最初に立ち寄った寺とされていて、本堂の障壁画45面を描いた。そのうち44面は2000年と09年の二度に分けて県立博物館に寄託されたが、取り外すことができなかった1面だけが寺に残っていた。

 今回修繕に出された障壁画の大きさは、縦175・7センチ、横187・3センチ。1786年の制作。梅を愛し、鶴を子として人里離れて暮らしていた中国の詩人、林和靖(りんわせい)の所に鶴を案内として訪れる客人が墨で描かれている。絵がほとんど見えなくなるほど激しく傷んでいたが、このほど、文化庁などが日本の美を未来へ伝えることなどを目的に取り組む「紡ぐプロジェクト修理助成事業」に採択され、修繕されることになった。作業は来年3月までに完了する予定。

 大崎住職(74)は「だいぶ傷んでいたので、修繕してもらえてありがたい。修繕後は県立博物館に預けたいと思っている」と話した。

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