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林業技術者育成を目標に みなべ川森林組合が総会

今後の経営方針や事業計画を可決したみなべ川森林組合の総会(29日、和歌山県みなべ町谷口で)
今後の経営方針や事業計画を可決したみなべ川森林組合の総会(29日、和歌山県みなべ町谷口で)
 和歌山県みなべ町のみなべ川森林組合は29日、同町谷口の生涯学習センターで通常総会を開いた。2019年度決算は紀州備長炭の売り上げ落ち込みで初の赤字となった。目標とする今後の経営方針では、林業技術者を育成し、作業班の人数を増やすことや、植栽用の苗木の生産販売に取り組むことなどを掲げた。当面は近隣組合との合併は視野に入れず、単独経営を継続するという。

 19年度事業報告では、決算で200万円の赤字となったと報告があった。要因は、販売事業で紀州備長炭の仕入れ量が激減し、売上高が減少したこと。仕入れ量は約26トンで、ピーク時の15年度と比べると半分以下となった。紀州備長炭生産者の売り先が、従来の問屋から個人販売へと急速に移行したという。

 森林環境譲与税を生かした取り組みについての報告もあった。組合は19年度から町の委託を受け、清川地区約200ヘクタールで現状調査を実施していること、深刻な風水害を確認しており、今後の集中豪雨での流域一帯への被害が心配されることから、風倒木除去作業も実施したい考えがあることを示した。

 20年度は高城地区、21年度は下流域一体と、3年間で管内全域の危険区域を調査する計画にしている。

■今後の経営方針示す

 組合が目標とする今後の経営方針では、管内の森林を環境林と経済林に区分し、災害リスクの高い環境林を町の管理下に置いて、環境譲与税で適正な森林管理を行ってもらい、経済林は組合が経営計画を立て、搬出間伐や皆伐、植栽事業を実施していくこととした。

 森林整備事業の増加に伴い、新たに林業技術者を育成し、現在は2人の作業班を4~5人体制にする。今後、皆伐が進行する中、植栽事業の拡大が見込まれるため、特にウバメガシやニホンミツバチの蜜源となる広葉樹など植栽用苗木を生産販売する方針。紀州備長炭の安定生産のため、後継者の育成支援や原木林資源確保(ウバメガシ植栽)に取り組むことなども盛り込んだ。

 20年度の主な事業では、備長炭の原木確保支援事業として、ドローンを活用し、地域内にある薪炭林資源の生育状況を上空から綿密に調査する▽森林環境譲与税の調査事業で、清川地区では森林所有者への意向調査をし、風倒木処理も試験的にするとともに高城地区で約200ヘクタールの現状調査を実施する▽観光協会と連携し、修学旅行誘致やほんまもん体験誘致に積極的に参加する―ことなどを計画している。

 小谷芳正町長はあいさつで、森林環境譲与税については19年度と20年度で約1600万円が基金に積み立てられていることを説明し「せっかくの譲与税を目いっぱい使えるよう、組合とも相談して取り組みたい。基金を上回る提案があっても、山林の崩壊を防ぎたい。搬出間伐への体制づくりもできれば」と述べた。

 田中昭彦組合長も環境譲与税について触れ「町当局と一致して頑張っていきたい。組合員の皆さんの協力をお願いしたい」と話した。

 役員改選(任期3年)もあった。田中組合長は再任。新役員は次の皆さん。

 副組合長=中松啓次、栗原修▽理事=庄司育生、畑野寿孝、西田晃久、川口信一、山内辰夫、田中雅晴、平山幸男、田中宏、下向一志▽監事=新家昭輝、中松郁夫、細川初夫、休場正信
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