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退院後半数が後遺症 新型コロナ、和歌山県調査

和歌山県庁
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 和歌山県は5日、新型コロナウイルスに感染し、退院した県民のうち、約半数が後遺症を訴えているという調査結果を公表した。数カ月後も後遺症がある人もいるという。入院時の症状が重いほど現在も不調を訴えている人の割合が多いことも分かった。

 9月14日時点で退院後2週間以上経過している県内の216人を対象に、保健所が郵送や聞き取りでアンケートした。このうち163人が答えた。

 退院後も何らかの症状があったのは46%の75人。年代別で後遺症があった人の割合が最も多かったのは、30代の77%で、40~60代も半数以上あった。一方、20代も39%、20歳未満も35%に後遺症があった。70代以上ではほとんどいなかった。

 後遺症の症状を聞いたところ(複数回答)、最も多かったのは「嗅覚障害」の30人だった。続いて「倦怠(けんたい)感」26人、「味覚障害」と「呼吸困難感」が20人ずつ、「頭痛」16人、「脱毛」12人、「胸痛」11人など。「脱毛」では洗髪時に髪の毛がまとめて抜けたという事例もあったという。このほか、忘れやすくなったなどの「記憶障害」「集中力低下」「睡眠障害」などもあった。

 6月末までに退院した51人のうち、2カ月半以上たった9月14日以降でも後遺症がある人は半数の26人いた。複数回答で「倦怠感」は10人、「呼吸困難感」と「頭痛」が8人ずつ、「脱毛」と「胸痛」が6人ずつ、「記憶障害」と「集中力低下」が5人ずつなどだった。

 入院時の症状の重さ別(無症状、軽症、肺炎、重症)では「呼吸困難感」や「倦怠感」などでは重症度が高い人の方が多い傾向にあったが、重症度による違いが見られない後遺症もあった。「味覚障害」や「嗅覚障害」は軽症、肺炎、重症それぞれの1~2割の人に見られた。一部で無症状だった人に後遺症が出るケースも少ないながら見られた。また、症状が重かった人ほど、9月14日以降も回復していない人の割合が多かった。後遺症により受診した人もいるという。

 県福祉保健部の野尻孝子技監は「後遺症がある人が思ったより多く、さまざまな症状がある」と調査結果の印象を述べ「若いから、軽症だから大丈夫だとはなかなか言えない。感染予防の啓発や、感染者の心身面の継続的な支援が必要。かかりつけ医の協力も頂きたい」と話した。

■誹謗中傷の訴えも 「家族に嫌がらせ」

 アンケートでは、退院後の療養生活中やその後に困ったことについても聞いた。健康面への不安や療養生活のストレスなどのほか、風評被害や誹謗(ひぼう)中傷を挙げた人も多かった。「あることないことを言いふらされた」「身に覚えのない情報が会員制交流サイト(SNS)に書き込まれた」「仕事関係者から特別な目で見られた」「家族が職場で嫌がらせを受けた」などがあった。

 県は10月に相談窓口「コロナ差別相談ダイヤル」(073・441・2563)を設置した。ネット投稿や発言、落書きなどあらゆる方法で誹謗中傷することを禁止する条例の制定を目指している。

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