和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

ドングリ育てて森づくり みなべ町の高城中学校

1年生が拾ったウバメガシのドングリ(和歌山県みなべ町滝で)
1年生が拾ったウバメガシのドングリ(和歌山県みなべ町滝で)
ドングリを植えた牛乳パックの鉢に水やりをする生徒
ドングリを植えた牛乳パックの鉢に水やりをする生徒
 和歌山県みなべ町滝、高城中学校の1年生が地元でドングリを拾い、町の特産、備長炭の原木であるウバメガシの苗木を育てて、植樹しようという取り組みを始めた。2年後の3年生時に苗木を山に植える計画。来年度以降も継続する考えで、関係者は、子どもたちのふるさとの山を大切にする気持ちを育て、世界農業遺産を次世代に引き継いでいく取り組みとして期待している。

 紀州備長炭は全国的なブランド産品で、世界農業遺産「みなべ・田辺の梅システム」の中でも欠かせない資源。しかし、近年は原木不足が課題となっており、地域では製炭士が若い木を残す「択伐」技術の普及に努めたり、町内の若手梅農家が耕作放棄地対策を兼ねて植樹に取り組むなどもしている。

 同校では、梅システムについて学ぶふるさと学習をしており、今回、若い世代に世界農業遺産を伝えようとする「まちキャンパスプロジェクト」(上野章プロジェクトリーダー)の提案を受け、みなべ川森林組合の協力も得て「森をつくろう」という取り組みをすることになった。

 生徒は事前に上野さんから梅システムや薪炭林、ドングリについての話を聞き、今月10日に1年生15人が、森林組合の松本貢参事の指導で地元でドングリを拾って、水に漬けて沈んだものやきれいなものを選り分けて、牛乳パックを鉢にして植えた。株立ちの苗木を作る目的で1パック当たり5個植えた。

 鉢は60個あり、今後、水やりなど管理して育てる。場所は検討中だが、3年生になった時、地元の山に植えようと計画している。

 生徒からは「楽しかった。木に育つまで、きちんと水をやって植えられるようにしていきたい」「森を増やすための授業として、とても良い経験をすることができた」といった感想があった。

 瀬戸敬二校長は「苗木ができれば、目に見えて取り組みのやりがいが感じられるし、うまく育てば、将来、自分たちが植えた木として誇れると思う。子どもたちがふるさとの山や森を大事にしていきたいという自発的な気持ちを育てられれば」と語った。

 松本参事も「森づくりがなぜ大切か学んだ上で、自分たちに何かできないかと思い、一生懸命取り組んでくれた。その姿を見て、世界農業遺産の意味や目的が若い世代に浸透し始めた、将来が期待できると感じた。応援していきたい」と話した。

公式SNS!フォローしてね!
友だち追加

アクセスランキング

趣味・娯楽

読者チャンネル

新着リリース

紀伊民報からのお知らせ