和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

スイーツ12種、統一ブランドで発売

和歌山県内12事業者が考案したスイーツをそれぞれ、色違いの小箱に入れ発売する(和歌山県日高川町で)
和歌山県内12事業者が考案したスイーツをそれぞれ、色違いの小箱に入れ発売する(和歌山県日高川町で)
小箱を組み合わせられるよう、質感のある外箱も用意した
小箱を組み合わせられるよう、質感のある外箱も用意した
 地場産品を使った食品を生産・加工販売する和歌山県内の12事業者が集まり、統一のブランドを作った。みなべ町と印南町の計3事業者も参加している。販売する商品は各種スイーツ。県内では初めての取り組みで、来年3月の発売を前にクラウドファンディングの返礼品として需要を探る。

 日高川町の道成寺で父が営む土産物店「あんちん」の専務を務める石倉大裕さん(41)が、特産品を新たな形で発信し誘客につなげようと考案。県商工会青年部連合会長を務めるつながりを生かし、地場産品を使いつつ特色を出している事業者を募った。

 集まった12事業者で「OTERA MAE ANCHIN プロジェクト」という組織を結成した。現在、北はかつらぎ町のごま豆腐店や紀の川市の果物店、南は太地町の鯨肉店などが参加している。

 スイーツは、プロジェクト用に開発した新商品を1事業者1個ずつの計12個、小箱に詰めている。パウンドケーキ、フィナンシェ、サブレ、パイ、クッキー、ブラウニー、バウムクーヘン、マドレーヌなどがある。みなべ町から参加しているぷらむ工房は「青梅スイートケーキ」、紀州本庄うめよしは「梅酒マドレーヌ」、印南町から参加しているいなみの里梅園は「梅ブラウニー」を商品化した。

 漬物店や養鶏場といった、今まで菓子生産の実績がなかった所には、組織としてノウハウを提供して支援。商品開発には、観光や情報発信を専門とした他県のアドバイザーの助言も取り入れた。

 近年の観光の動向やニーズを踏まえ「自分のための土産」「少量」「かわいい、かっこいい」といった観点でパッケージも工夫。ついで買いを促せるよう、複数の小箱を詰め合わせるための外箱も用意した。

■1カ所でいろいろ出合える

 企画を具体化させた今年から、新型コロナウイルスの感染が拡大。観光業にも変化が求められた。石倉さんらは、県有数の観光地に根差した店を営む者として、その地を訪れながら、名物に触れて体験するのも観光の醍醐味(だいごみ)と再認識した。

 1カ所を観光することで県内他地域の店や産品に出合えるブランドの意義を、観光客の利便性、事業者のPRの面で見いだした。通販購入をきっかけにした誘客効果も期待する。

 京都の有名和食店で数年間、板前の経験がある石倉さん。食に関して情報発信力、他との差別化の大切さも痛感している。プロジェクトにより、各店で培われてきた味と技術を新鮮味のある切り口で発信したいと語る。

 スイーツを寄付の返礼品としたクラウドファンディングは、15日から大手サイト「キャンプファイヤー」内で開始する。来年1月30日まで賛同者を募る。賛同者数を基に需要を把握した上で、来年3月に12事業者の店頭やネット販売で発売する予定。

 今後は食品以外の業種にも裾野を広げたいという。石倉さんは「観光も産品も、和歌山には恵まれた資源がたくさんある。皆さんに協力を得ながら、県産品をコンプリートできるようなブランドに育てたい」と話している。

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