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ジーンズで産地アピール 農作業で使用、都市部で展示へ

当初濃紺だったジーンズ(左)は、右の3人の農家が農作業ではいて味のあるジーンズに仕上がった(田辺市で)
当初濃紺だったジーンズ(左)は、右の3人の農家が農作業ではいて味のあるジーンズに仕上がった(田辺市で)
 農家が農作業ではいたジーンズを、産地や農産物のPRにつなげようという取り組みを、田辺市やみなべ町の洋服店や農家が始めた。昨年から梅の剪定(せんてい)や収穫などさまざまな農作業ではいたジーンズは、表情豊かに仕上がった。今後、都市部での展示などを検討しており、「若い世代など新たな層への産地の発信につながれば」と話している。


 田辺市やその周辺で地域活性化の活動をするグループ「アンドローカル」の取り組みの一環で、田辺市湊の洋服店「コチレ」が、店で扱う岡山県のジーンズメーカーに企画を話したところ、協力が得られた。

 農家は、みなべ町西岩代の尾﨑慎哉さん(39)、田辺市上秋津の野久保太一郎さん(47)、同市下三栖の那須誠さん(48)の3人が参加。同町埴田の会社員、岡田幸大さん(33)がPR用の撮影を担当している。

 試行的に各農家が、昨年の梅の収穫時季ごろから、今年の梅の収穫が終わるころまでの約1年間、着用した。はく期間や作業、洗濯の頻度などはき方はさまざまだが、メーカーから提供を受けた当初、濃紺色だったジーンズは味のある風合いになった。

 土や草、オイルの汚れが付いたり、すそがほつれたり、ポケットに穴が開いたり、飛び跳ねた薬品で色が抜けたり。草刈りや剪定作業、収穫、倉庫での作業など、農家の日常が刻まれ、どのジーンズも魅力的に変化。参加農家も「かっこいい」と互いにジーンズの仕上がりを品評し合った。

 今回、できたジーンズは、都市部の店で展示したり、一緒に梅干しや農産物を販売したりできればと計画しており、来年以降も含め、参加農家を増やすか、どう展開していくか、メーカーと話し合い、検討していくという。

 アンドローカルのメンバー、尾﨑さんは「はく前は作業しづらいのではと思ったが、違和感なくはいて作業できた。今回の取り組みは、梅やミカンなど農産物に違う角度で切り込むことができて面白いし、今までにPRできなかった人にもアピールできると思う」と話す。

 コチレの濵口陽平さん(43)は「普段は服を販売しているが、この取り組みを通じて、和歌山の梅や農産物を都会にアピールしていけるし、ジーンズを通じて、どれだけの作業や汗を経て、梅や農産物ができているかということを知ってもらえたら。ファッションや若者文化の場で、農家はかっこいいと思ってもらえることにもつながれば」と話している。

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