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帰省客は静かに「ただいま」 盆休みに大きな混雑なし

大きな荷物を手に改札口を出る帰省客ら(12日、和歌山県田辺市のJR紀伊田辺駅で)
大きな荷物を手に改札口を出る帰省客ら(12日、和歌山県田辺市のJR紀伊田辺駅で)
 お盆を古里で過ごす人たちの帰省が続いている。今年は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、行政からも「慎重な往来」が呼び掛けられており、例年のような混雑にはなっていない。


 JR西日本によると、帰省のピークは7日で、新大阪から和歌山県の白浜方面に向かう特急列車の自由席の乗車率が100%を超える便もあった。ただ「本数自体を減らしており、利用客全体が伸びているとは言えない」という。

 日本航空によると、南紀白浜空港(白浜町)の東京―白浜便(1日3往復)の利用は、7日ごろから増えており、東京発の朝の便は連日100人(最大165人)を超えている。白浜発の便は13~15日がピークという。

 紀伊田辺駅(田辺市)では12日、特急列車が到着するたび、キャリーバッグを引く帰省客や家族連れが降りてきたが、例年よりは少なかった。「ただいま」とマスク越しにあいさつした後、雨が降っていたこともあり、足早に迎えの車に乗り込む姿が目立った。

■帰省 それぞれの選択

 田辺市出身で東京都在住の男性会社員(37)は「帰省は控えた。実家では最近、出産したばかりの妹が帰ってきており、余計に帰りづらい。孫の顔を見せるため、年3回は帰省していた。当たり前に行き来できる世の中に戻ってほしい」と話す。

 同じく田辺市出身で東京都在住の女性会社員(30)も「地元の友達に会いたいけど、今は我慢。この機会に資格試験の勉強をしたい」と長いおうち時間を選択した。

 一方、田辺市出身で大阪府在住の男性会社員(30)は「1歳と0歳の子どもを両親に会わせたい」と7日から帰省している。

 田辺市出身で兵庫県在住の女性大学生(21)は「大学の授業に加え、就活で忙しい。実家で休養したい。PCR検査キットで陰性を確認してから帰省した」、みなべ町出身で大阪府在住の男性大学生(20)も「法事と就職活動があるため、帰省する。対策はできる限りしたい」と話した。

 迎える側も思いは複雑だ。社会人1年生の次女(22)が神奈川県にいるというみなべ町在住の男性公務員(55)は「8月は帰ってこないと聞いた。会いたい気持ちは強いが、首都圏の感染状況を見ても厳しい。近所の目も敏感だ。祭りのある秋には帰って来られる状況になってほしい」と心配そうに話した。

 例年なら書き入れ時の飲食店も休業したり、「県外客の来店お断り」の張り紙をしたりして警戒している。田辺市湊のある居酒屋は「県外ナンバーの車が目立つ。県外客は断っているが、常連さんが連れてくることもあって難しい。盆明けに感染が拡大したら、回復傾向だった客足がまた遠のく」と不安を口にした。

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