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アカウミガメふ化、記録的な少なさ みなべの千里の浜

ふ化状況を調べるNPO日本ウミガメ協議会の松沢慶将会長(右)ら=和歌山県みなべ町山内で
ふ化状況を調べるNPO日本ウミガメ協議会の松沢慶将会長(右)ら=和歌山県みなべ町山内で
調査を手伝うライオン大阪工場の社員
調査を手伝うライオン大阪工場の社員
 和歌山県みなべ町山内にある千里の浜で今季、アカウミガメの卵が9割以上ふ化したのは4カ所にとどまっていることが、NPO日本ウミガメ協議会の調査で分かった。水没が最大の原因とみられ、産卵数が少なかったのに追い打ちをかけた。ふ化の少なさは記録的で、協議会は将来への影響を心配する。


 協議会は毎年、5月中旬から8月上旬にかけての産卵シーズンにウミガメの保護や研究を続け、秋には数回に分け、ふ化の状況を調べている。

 その調査によると、今季の産卵数は31回で、調査を始めた1981年度以降40年間で、98年度の29回に次いで2番目に少なかった。90年代初めに350回を超え、2012、13年度には300回近くあったのと比較すると深刻な状況だ。

 さらに今季は8月9日の台風による高波で多数の卵が流され、砂の中に埋まっているのが確認できたのは14カ所だった。

 その14カ所のふ化状況を調べたところ、9割以上ふ化したのは4カ所だけだった。3割近くと1割ほどのふ化はそれぞれ1カ所ずつあり、残りの8カ所はほぼ全滅だった。

 協議会によると、ふ化しなかった最大の原因は水没で、台風の影響が大きいとみられる。さらに親ガメが産卵に何度も失敗し、それによって親ガメの腹の中にいる日数が長くなり、酸欠で死ぬこともある。千里の浜は他より産卵成功率が低いという。

 協議会の松沢慶将会長は「ここ数年、産卵数が少ない状況が続いており、それに加え今季はふ化状況も悪かった。約40年後に生まれた場所に戻って産卵するが、それが少なくなるのではないか」と心配する。その上で「少しでも多くのウミガメが無事に産卵し、ふ化し、成長できるような環境づくりをしたい」と保護活動の必要性を強調する。

■ライオン社員が協力

 ふ化状況の調査は、大手生活用品メーカー「ライオン」大阪工場の社員が協力している。10月23日には26人が参加し、協議会のスタッフや学生ボランティアと一緒に活動した。

 2010年から毎年実施しており、今季も7月末に卵が獣害に遭うのを防ぐために籠を設置したのに続き、調査を手伝った。

 5班に分かれ、卵を産んだ場所を掘って、卵の状態を確認した。割れて殻だけならふ化しているが、割れずにへこんだ状態であれば死んでいるため、掘り出すたびに一喜一憂していた。

 割れていない卵は割って中の状態を確認した。発生してカメの形になったものもあるが、未発生のものもあった。

 社員らは浜に打ち上がったペットボトルや空き缶、発泡スチロールなどのごみの回収もした。社員のボランティア責任者、安倍貴大さん(50)は「ふ化ができていないのは残念。産卵も減ってきていると聞く。私たちも微力ながらウミガメの保護活動に協力できればと思う。人に優しい環境を守る会社の社員として、自然環境の保全に努めたい」と話していた。

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