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熊野のこと、自分ごとに 関係人口講座修了式で発表

熊野リボーンプロジェクトの修了式。オンラインで受講生の成果発表を聞く真砂充敏市長(右前から2人目)=和歌山県田辺市役所で
熊野リボーンプロジェクトの修了式。オンラインで受講生の成果発表を聞く真砂充敏市長(右前から2人目)=和歌山県田辺市役所で
 特定の地域に継続的に関わる「関係人口」づくりを目指す和歌山県田辺市の講座「熊野リボーンプロジェクト」の第2期修了式が18日、オンラインであった。熊野の里山について学んだ受講生は、自分なりの熊野との関わり方を発表。地域課題解決のアイデアが続々と登場した。


 講座は、土地の歴史や文化に触れながら山歩きを楽しむ「低山トラベラー」が対象。低山トラベラーを提唱する山旅文筆家の大内征さん、登山・アプリメディアを運営する「YAMAP(ヤマップ)」(福岡市)、地元の育林業会社「中川」らが協力している。

 今期はデザイナーやエンジニア、教員など12人が受講。林業をテーマに、10月から現地実習を含む4回の講座で熊野古道の歴史文化、林業の課題などを学んだ。

 発表会で、エンジニアの平田智也さん(大阪府)は「熊野そのものがアートだと感じている。熊野とクリエーターのつながりをつくり、熊野の魅力、林業の実情を作品を通じ、発信してもらう。多くの人が知り、体験することで熊野に来る人が増えるし、木材の活用も進む」と提案した。

 現地に来るのが難しい人には、VR(仮想現実)の機能で熊野古道歩き、過去の熊野を疑似体験できるサービスを提供。現地ではAR(拡張現実)の機能で、熊野古道のスポットごとに、スマートフォンをかざせば三体月などの伝説を再現できる仕組みをつくる―など具体案を示した。

 ウェブデザイナーの永井里沙さん(千葉県)は、熊野古道の伝説や見どころなど、個人の持つ情報を「オーディオブック」のように聴けるウェブサイトを企画。「伝説は諸説あるので、『~らしいで、知らんけど』でいい。いろんな人に投稿してもらえる仕組みにしたい」と話した。

 他にも子どもたちが学ぶ森林教育のプログラムに旅行者や地域の人も参加できる教室、間伐材の活用法など、さまざまな提案があった。

 真砂充敏市長は「皆さん目的意識が高く、期待を超える内容。市政、まちづくりに生かしたいアイデアがたくさんあった。発表会で終わりではなく、これがスタート」と今後の関係継続を呼び掛けた。

 大内さんは「山好きと古道が出合ったら何が起きるか楽しみにしていた。多様性を受け入れる熊野の文化は、関係人口づくりに合っている。今後3期、4期と継続し、『卒業生』のつながりもつくっていけば、面白い関係ができていくはず」と期待を込めた。

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