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ビキニ水爆実験、実態調査の歩み講演

講演する太平洋核被災支援センターの山下正寿事務局長(和歌山県串本町串本で)
講演する太平洋核被災支援センターの山下正寿事務局長(和歌山県串本町串本で)
 和歌山県串本町串本の町文化センターで11日、太平洋核被災支援センターの山下正寿事務局長が「ビキニ水爆実験と核兵器禁止条約~高校生と歩んだ34年間の実態調査と被災者救済の取り組み~」をテーマに講演した。山下さんは、水爆実験で被ばくした漁船は、延べ千隻、船員1万人以上と述べ、正確な調査が、核兵器のない世界へ導く突破口になると協力を呼び掛けた。

 山下さんは、国は55年に米国から200万ドル(当時で約7億2千万円)の見舞金を受け取り、ビキニ事件を米国のために処理する代償として、戦犯釈放を求め政治決着させたと説明。ほとんどの船員は被ばくしたことも知らず病気に苦しんでいたと述べ、国が実験の直後にビキニ周辺での操業を禁止し、被ばくの事実を早く公表していれば、被害は軽減できたと国の責任を追及した。

 ビキニでは20日間で6回の水爆実験があり、船員はその間、汚染された海水を使って日々の生活や漁をしていたという。山下さんらが元船員204人を調査したところ、約3割ががんで亡くなり、3人が白血病だったことが分かった。内部被ばくは60年間、体内に残ると述べ、高知県の被ばく船員調査の取り組みは現在、世界に注目されており、海外のジャーナリストも取材していると紹介した。

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