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21年度のクマ目撃情報75件 和歌山県内、過去2番目の多さ

わなに掛かったツキノワグマ(昨年7月、和歌山県田辺市龍神村甲斐ノ川の林道で)
わなに掛かったツキノワグマ(昨年7月、和歌山県田辺市龍神村甲斐ノ川の林道で)
県内でのクマの目撃情報
県内でのクマの目撃情報
 和歌山県に入った2021年度のツキノワグマの目撃情報は2月現在75件で、統計を取り始めた04年度以降、2番目の多さになっている。県自然環境室によると、養蜂などへの被害はあったが、人的被害の情報は入っていないという。

 同室によると、目撃情報が最も多かったのは10年度の97件。ツキノワグマは餌を探して長距離を移動するため、同じクマが複数回目撃されていることも多い。

 紀南地方での21年度の目撃情報は、田辺市10件(旧田辺市4件、龍神村3件、中辺路町1件、本宮町2件)、次いで印南町4件で、みなべ町と白浜町、上富田町、北山村が各1件となっている。田辺市と上富田町では昨夏、これまで目撃されていなかった住宅地に出没し、地域住民を驚かせた。

 同室は「全国的に見ると、本年度のクマの目撃情報は例年並みか、例年より少ない。和歌山県で目撃情報が多かった原因は分からないが、山に餌の木の実などが少なかったのではないか」とみている。

■山での餌不足か

 県自然環境研究会の細田徹治会長は、本年度の目撃情報が多かった理由について「さまざまなことが大量出没の要因になっているとしか言えない。強いて言えば、山の多様な樹種の果実が同じ年に一斉に凶作になることがあるようで、そのような年は、極度な食糧不足となり、農作物やクリ、ビワ、柿などを求めて人里周辺を徘徊(はいかい)し、大量出没が記録されるということになるのだと思う」と推測する。

 特に夏は、クマにとって一年の中で最も食べ物の少ない時季で、空腹感を満たすために、餌を求めて歩き回る範囲が広くなり、目撃される機会が増えた可能性が高いという。

 細田会長は「出没件数の増加が、個体数の増加によるものなのかは分からない。分からないままで、クマ対策を考えるのは難しいと思う。早急に、専門家による3県合同の個体数調査を行う必要がある」と指摘する。

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