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農山漁村で関係人口増やそう 梅の里・みなべ町で「1次産業ワーケーション」、和歌山

ミツバチの巣箱作りを体験する参加者(和歌山県みなべ町筋で)
ミツバチの巣箱作りを体験する参加者(和歌山県みなべ町筋で)
 農山漁村での関係人口の創出を目指し、一般社団法人日本ウェルビーイング推進協議会(島田由香代表理事)は、人材育成プログラム「TUNAGU(ツナグ)プロジェクト」を始めた。実地研修の第1弾として首都圏からの参加者5人が1~4日に和歌山県みなべ町を訪れ、世界農業遺産「みなべ・田辺の梅システム」について学んだ。

 地方では、人口減少により産業の後継者不足や活力の低下が課題となっていることから、「1次産業ワーケーション」を切り口として都市部の人に積極的に地域に関わってもらい関係人口の増加を目指そうと企画した。農林水産省の補助事業で、希望者は10月中に3回、オンラインで1次産業や多拠点居住、移住、起業についての事前研修を受けた。

 実地研修は11月~来年2月、みなべ町のほか、すさみ町や石川県能登町、福井県高浜町で予定している。みなべ町では海と山に囲まれた自然の中、特産の「南高梅」や「紀州備長炭」の生産現場のほか、梅の栽培に欠かせないニホンミツバチの実態などを通じて梅システムを学ぶ。

 初日は梅農家や加工販売業者らから現状や課題を聞き、意見交換をした。参加者からは「山、川、海がつながっており、山を守ることが大切だと知った」「みなべに何回も訪れてくれる仕組みづくりが大事」「体験するだけでなく、人と人とがつながり、一緒に地域を盛り上げていくことが大事」などといった意見が出ていた。

 2、3日目は紀州備長炭を製造する窯や原木を確保する山林を訪れ、製炭士らから課題を聞き、意見交換した。4日目には、みなべ町の若手農業者でつくる「梅郷クラブ」の中井貴章さん(32)=みなべ町筋=に教わり、南高梅を栽培する上で重要な役割を果たすニホンミツバチの巣箱作りを体験。梅システムを次世代に引き継ぐために重要な里山保全の取り組みを肌で感じた。

 3カ所での研修を予定している千葉県の航空会社社員(29)は「新しい旅の仕方としてワーケーションには可能性がある。関係人口を増やすことができる。地域の活性化に私たちも関わっていければと思う」、群馬県の障害者作業所の代表(54)は「作業所で梅の加工をしており、参考にできればと思い参加した。地域を守っていこうという熱意をすごく感じた」と話していた。

 第1弾を振り返り、島田代表理事は「参加者は体を動かして体験することで、幸せな気持ちになっていったのではないか。楽しんでくれ、一つのチームとなって盛り上がった。これでつながりができ、また来てもらえればと思う。移住や就農につながることにも期待したい」と語った。

 みなべ町では梅の花が咲く来年2月にも2回予定している。すさみ町では今月23~26日と12月、来年1月に漁業の作業を体験し、漁師から話も聞いて漁業の現状に理解を深める。

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