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最新の研究交え講演 地震予測と「スロー地震」で東京大大学院の井出教授、和歌山

地震の予測について解説する井出哲教授(和歌山県串本町潮岬で)
地震の予測について解説する井出哲教授(和歌山県串本町潮岬で)
 地震の予測と地震動を伴わない「スロー地震」についての講演会が、和歌山県串本町潮岬の南紀熊野ジオパークセンターであった。東京大学大学院で地震学などを研究する井出哲教授が講師を務め、最新の研究成果を交えながら解説した。


 南紀熊野ジオパークセンターと、各分野の研究者が参加する団体「Slow―to―Fast地震学」の共催。51人が受講した。

 井出教授は地震は、断層が破壊されて急激に滑る「破壊すべり運動」によって発生していることを紹介。日本では3分に1回のペース、年間では20万回ほど起きており、世界全体の十数%が日本だという。

 地震の大きさはさまざま。毎年世界中で起こる地震は、マグニチュード8の巨大地震が1回程度なのに対し、マグニチュード1の地震は千万回起きており、大きさと頻度に法則があることが分かっている。さらに、どの地震も始まりは似たようなもので、その後連鎖的に巨大化していくことから予測を困難にさせていると述べた。

 プレートの境界がゆっくりとずれ動くスロー地震が近年見つかり、研究が進められている。世界中で起きている現象で、紀伊半島沖でも過去に南海トラフ地震が起きた場所の近くで発生している。

 一方で、スロー地震と揺れを感じる地震の時間的な関連はまだ分かっていないという。巨大地震の前にスロー地震が起きていた例はいくつか報告されている。紀伊半島沖などで、地震観測が続けられており、「経験を積み重ねないと分かってこない。現象を把握することが大事。紀伊半島沖は日本だけでなく、世界の地震研究でも最重要なフィールドになっている」と解説した。

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